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指定感染症について理解
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問題(第1/9問)
【出題基準】 大項目:Ⅳ. 医療安全を推進する 中項目:Ⅳ-2:感染制御・管理 小項目:指定感染症について理解している。
【難易度】標準
【問題文】 感染症法における「指定感染症」の定義に関する記述として、正しいものを選べ。
【選択肢】 a. すでに知られている感染性の疾病であって、一類感染症から三類感染症まで及び新型インフルエンザ等感染症以外のもののうち、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 指定感染症は「既知の疾患」であり、既存の分類(1〜3類等)以外のものから政令で指定されるという定義は正しい。
《核心》
- 感染症法において、指定感染症は「すでに知られている(既知の)」感染性の疾病であることが大前提である。
- 1類〜3類感染症および新型インフルエンザ等感染症「以外」の疾患(4類、5類、または分類外の疾患)が対象となる。
- 急激な流行や重症化リスクの高まりにより、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」と判断された場合に、政令によって一時的に指定される。
《周辺知識》
- 指定感染症に指定されると、本来の分類(4類や5類など)では実施できない厳しい措置(入院勧告や就業制限など)を、1類〜3類に準じて適用することが可能になる。
- これに対し、これまで知られていなかった「未知の」感染症で重大な影響を与えるものは「新感染症」として明確に区別される。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症のキーワードは「既知の疾患」「1〜3類・新型インフル等以外」「政令で指定」である。
- ★重要: 未知の疾患は「新感染症」であり、指定感染症には該当しない。
- 指定感染症は、緊急避難的に厳しい措置を適用するための「一時的な格上げ枠」である。
a. ✅
問題(第2/9問)
【難易度】標準
【問題文】 指定感染症の指定期間に関する記述として、正しいものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症の指定期間は原則として1年以内とされているが、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれが継続している場合は、政令により1年を限度として延長することができる。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 指定感染症の指定期間は原則1年、延長は1年を限度(最長2年)とする記述は正しい。
《核心》
- 指定感染症は、緊急的に厳しい措置を適用するための「一時的な枠組み」であるため、無期限に指定し続けることは法律上認められていない。
- 政令で指定される期間は「原則1年以内」と定められている。
- ただし、指定期間の満了が近づいても依然として国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれが継続している場合は、政令により「1年を限度として延長」することが可能である。
- したがって、指定感染症として留め置ける期間は「最長で2年」となる。
《周辺知識》
- 最長2年の期間が経過した後は、その疾患の性質(感染力や重症度)を見極めた上で、恒久的な分類(1類〜5類のいずれか、または新型インフルエンザ等感染症など)へ移行(類型移行)させる必要がある。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、指定感染症として指定・延長された後、法改正により新型インフルエンザ等感染症へ移行し、最終的に5類感染症へ移行した。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症の指定期間は「原則1年以内」。
- ★重要: 延長は「1年を限度」として可能であり、指定期間は「最長2年」である。
- 期間満了後は、必ず他の恒久的な類型(1〜5類等)へ移行する。
a. ✅
問題(第3/9問)
【難易度】標準
【問題文】 指定感染症に対して適用される措置に関する記述として、正しいものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症に指定された場合、政令で定めることにより、一類感染症から三類感染症までに準じた入院勧告や就業制限などの措置を適用することができる。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 指定感染症には、政令により1類〜3類に準じた厳しい措置(入院勧告や就業制限など)を適用できるという記述は正しい。
《核心》
- 指定感染症の目的は、本来は4類や5類、あるいは分類外の疾患に対して、感染拡大を防ぐための強力な措置を一時的に可能にすることである。
- 適用できる主な措置には、「入院勧告・措置(主に2類に準ずる)」「就業制限」「対物措置(消毒や物件の廃棄など)」がある。
- これらの措置は自動的にすべて適用されるわけではなく、疾患の性質に応じて「政令で定める範囲内」で適用される。
- 入院勧告等により入院した患者の入院医療費は、確実な隔離と治療を促すため、公費負担の対象となる。
《周辺知識》
- 法律(感染症法)に基づく就業制限は、本来「1〜3類、新型インフルエンザ等感染症、新感染症」にのみ存在する。指定感染症は政令でこれを準用する。
- 5類感染症(季節性インフルエンザなど)には、感染症法に基づく就業制限や入院勧告は存在しない(学校保健安全法など別の法律に基づく出席停止等はあり得る)。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症には、政令により「1〜3類に準じた措置」が適用される。
- ★重要: 適用される代表的な措置は「入院勧告」「就業制限」「消毒等の対物措置」である。
- 入院勧告に伴う入院医療費は「公費負担」となる。
a. ✅
【用語解説】 ・COVID-19(Coronavirus Disease 2019):新型コロナウイルス感染症。SARS-CoV-2によって引き起こされる。指定感染症から新型インフルエンザ等感染症を経て、現在は5類感染症に位置づけられている。
問題(第4/9問)
【難易度】標準
【問題文】 指定感染症の患者を診断した医師の届出義務に関する記述として、正しいものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症の患者を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 指定感染症の患者を診断した医師は「直ちに」保健所長を経由して都道府県知事に届け出る義務があるという記述は正しい。
《核心》
- 感染症法において、感染拡大を早期に探知し封じ込めるため、医師には厳格な届出義務が課せられている。
- 指定感染症は、国民の生命や健康に重大な影響を与えるおそれがあるため、1類〜4類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症と同様に「直ちに(発見次第すぐ)」の届出が求められる。
- 届出のルートは「医師 → 最寄りの保健所長 → 都道府県知事」である。
《周辺知識》
- 5類感染症(季節性インフルエンザ、梅毒、新型コロナウイルス感染症など)の場合は、疾患によって「全数把握(すべての患者を届出)」と「定点把握(指定された医療機関のみが届出)」に分かれるが、届出の期限はいずれも「7日以内」とされている。
- 指定感染症において「直ちに」の届出を怠った場合、感染拡大の初動対応(隔離や接触者調査)が遅れるため、ICT(感染制御チーム)としても医師への迅速なリマインドが極めて重要となる。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症の届出期限は「直ちに」である(5類のような「7日以内」ではない)。
- ★重要: 1類〜4類、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症はすべて「直ちに」全数届出が必要である。
- 届出ルートは「保健所長を経由して都道府県知事へ」である。
a. ✅
問題(第5/9問)
【難易度】やや難
【問題文】 指定感染症と新感染症の鑑別および法的取扱いに関する記述として、最も適切なものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症は、これまで人から人に伝染することが知られていなかった全く新しい未知の感染症に対して指定される枠組みである。 b. 指定感染症は既に知られている感染性の疾病を対象とするのに対し、その病状や治療の結果が明らかに異なる未知の疾患は「新感染症」として明確に区別される。 c. 新感染症の患者を診断した医師は、未知の疾患であるため詳細な調査を優先し、診断から7日以内に保健所長を経由して届け出なければならない。
【解答・解説】
指定感染症は「既に知られている(既知の)」感染性の疾病であって、1類〜3類および新型インフルエンザ等感染症以外のものから政令で指定される枠組みである。これまで人から人に伝染することが知られていなかった全く新しい「未知の」感染症は「新感染症」に分類されるため、この記述は誤りである。指定感染症と新感染症の定義の境界線(既知か未知か)を正確に理解しておく必要がある。 a. ❌
指定感染症と新感染症の定義の違いを正しく述べている。指定感染症は「既知」の疾患であり、既存の分類(4類、5類等)から一時的に格上げして厳しい措置を適用するための枠組みである。一方、新感染症は「既に知られている感染性の疾病とその病状や治療の結果が明らかに異なる(未知の)」疾患と定義され、1類感染症よりもさらに強力な措置(交通の制限など)をとることが可能となっている。 b. ✅
新感染症は、未知の疾患であり国民の生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあるため、初動の封じ込めが最優先される。したがって、新感染症の患者(疑いを含む)を診断した医師は、詳細な調査を待つことなく「直ちに」最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。「7日以内」の届出が許容されるのは5類感染症のみである。 c. ❌
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症は「既知」の疾患、新感染症は「未知」の疾患である。
- ★重要: 新感染症は、1類感染症と同等以上の極めて厳格な措置(交通制限等)が適用される。
- 新感染症の届出期限も、指定感染症や1〜4類と同様に「直ちに」である。
問題(第6/9問)
【難易度】やや難
【問題文】 指定感染症の指定期間満了に伴う類型移行のプロセスに関する記述として、最も適切なものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症の指定期間が満了し、5類感染症へ移行した場合でも、感染拡大防止の観点から感染症法に基づく就業制限は引き続き適用される。 b. 指定感染症から5類感染症へ移行した疾患の患者を診断した医師は、移行後も例外なく「直ちに」全数届出を行わなければならない。 c. 指定感染症の指定期間は最長2年であり、期間満了後は疾患の性質(感染力や重症度)を見極めた上で、1類から5類などの恒久的な類型へ移行する必要がある。
【解答・解説】
感染症法に基づく就業制限が適用されるのは、原則として1類〜3類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症であり、指定感染症は政令によりこれを準用している。5類感染症へ移行した時点で、感染症法に基づく就業制限や入院勧告の法的根拠は消失し、解除される。ただし、学校保健安全法に基づく出席停止や、労働安全衛生法に基づく事業者の判断による休業指示が行われる場合はある。 a. ❌
5類感染症へ移行した場合、医師の届出義務は「直ちに」から「7日以内」へと緩和される。また、疾患の性質や流行状況によっては、すべての患者を報告する「全数把握」から、指定された医療機関のみが報告する「定点把握」へと変更されることもある(例:新型コロナウイルス感染症の5類移行後の対応)。したがって、移行後も例外なく直ちに全数届出を行うとする記述は誤りである。 b. ❌
指定感染症の指定期間は「原則1年以内」であり、必要に応じて「1年を限度として延長」できるため、最長で2年となる。この期間は緊急避難的な措置であるため、2年経過後は無期限に指定し続けることはできず、疾患の性質に応じて1類〜5類、あるいは新型インフルエンザ等感染症といった恒久的な類型へ移行(類型移行)させる法的な仕組みとなっている。 c. ✅
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症の指定期間は「最長2年」であり、その後は必ず恒久的な類型(1〜5類等)へ移行する。
- ★重要: 5類感染症へ移行すると、感染症法に基づく「就業制限」や「入院勧告」は解除される。
- 5類感染症の届出は「7日以内」であり、疾患により「全数把握」と「定点把握」に分かれる。
【用語解説】 ・全数把握:対象となる感染症を診断したすべての医師に届出を義務付ける制度。感染症の発生状況を正確に把握するために行われる。 ・定点把握:あらかじめ指定された医療機関(定点医療機関)のみが患者数を報告する制度。季節性インフルエンザなど、患者数が膨大で全数把握が困難な疾患に適用される。
問題(第7/9問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:45歳、男性 主訴:39℃の発熱、激しい咳嗽、呼吸困難 既往歴:特記事項なし 現病歴:海外出張から帰国後、発熱と呼吸器症状が出現し救急外来を受診。 検査値:WBC 11,000/μL、CRP 15.2mg/dL、胸部X線にて両側びまん性浸潤影 服用薬:なし 身体所見:SpO2 88%(室内気)、頻呼吸あり。 その他:PCR検査の結果、現在「指定感染症」として政令で指定されている既知のウイルス性呼吸器感染症と診断された。
【問題文】 病院の感染制御チーム(ICT)に所属する薬剤師として、この患者の法的取扱いと初動対応について主治医と協議する。最も適切な対応として正しいものを選べ。
【選択肢】 a. 指定感染症は5類感染症に準じた扱いとなるため、診断から7日以内に保健所へ届け出るよう主治医に助言する。 b. 指定感染症は未知の疾患に対する枠組みであるため、ウイルスの遺伝子解析が完了するまで保健所への届出を保留するよう提案する。 c. 感染拡大を防ぐため、感染症法に基づく入院勧告の対象となるか確認し、入院医療費が公費負担の対象となることを患者に説明するよう主治医をサポートする。 d. 指定感染症には法律に基づく就業制限の規定が一切存在しないため、解熱後は直ちに職場復帰が可能であると患者に説明する。 e. 指定感染症の指定期間は無期限であるため、恒久的な隔離病棟の確保が必要であると病院管理者に進言する。
【解答・解説】
指定感染症の患者を診断した医師は、5類感染症のような「7日以内」ではなく、「直ちに」最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出る義務がある。初動の遅れは感染拡大に直結するため、ICTとして直ちに行う届出をリマインドすることが重要である。 a. ❌
指定感染症は「既に知られている(既知の)」疾患に対する枠組みである。これまで知られていなかった「未知の」疾患は「新感染症」に分類される。また、いずれの場合であっても、詳細な解析を待たずに疑いの段階から直ちに保健所へ届け出る必要がある。 b. ❌
指定感染症に指定されると、政令により1類〜3類感染症に準じた厳しい措置が適用可能となる。本症例のような重篤な呼吸器感染症の場合、入院勧告の対象となる可能性が高く、その際の入院医療費は確実な隔離と治療を促す目的で公費負担の対象となる。この制度的理解に基づき主治医や患者をサポートすることは、ICT薬剤師の適切な対応である。 c. ✅
指定感染症には、政令によって1類〜3類に準じた「就業制限」を適用することが可能である。したがって、就業制限の規定が一切存在しないとする記述は誤りであり、政令で就業制限が適用されているかを確認した上で患者に説明する必要がある。 d. ❌
指定感染症の指定期間は「原則1年以内」であり、必要に応じて「1年を限度として延長」できるが、最長で2年である。無期限に指定し続けることは法律上認められておらず、期間満了後は1類〜5類などの恒久的な類型へ移行する必要がある。 e. ❌
【正解】c
《法的対応の原則》
- 指定感染症発生時の初動対応:
- 医師による「直ちに」の保健所への届出
- 政令に基づく「入院勧告」「就業制限」の適用有無の確認
- 入院勧告に伴う「公費負担」の手続きサポート
《暗記ポイント》
- ★重要: 指定感染症の届出は「直ちに」である。
- ★重要: 指定感染症には政令で「入院勧告」や「就業制限」が適用され、入院医療費は「公費負担」となる。
- 指定感染症は「既知」の疾患であり、指定期間は「最長2年」である。
問題(第8/9問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:30歳、女性 主訴:微熱、咽頭痛 既往歴:気管支喘息 現病歴:2日前から咽頭痛が出現し、本日外来を受診。 検査値:特記事項なし 服用薬:ブデソニド・ホルモテロール(シムビコート)吸入 身体所見:咽頭発赤あり。 その他:抗原検査の結果、A感染症陽性と判定された。A感染症はこれまで「指定感染症」として扱われていたが、指定期間の最長限度である2年が経過し、明日から「5類感染症」へ類型移行することが決定している。
【問題文】 ICTの薬剤師として、明日からのA感染症の5類移行に伴う院内対応の変更点について、病棟・外来スタッフへ周知を行う。最も適切な説明として正しいものを選べ。
【選択肢】 a. 明日以降もA感染症の指定期間を病院独自の判断で延長し、引き続き指定感染症として厳格な隔離措置を継続します。 b. 5類感染症へ移行するため、明日以降に診断された患者については、感染症法に基づく就業制限や入院勧告は解除されます。 c. 5類感染症へ移行しますが、医師の届出義務は引き続き「直ちに全数届出」が法律で義務付けられています。 d. 5類感染症へ移行するため、明日以降の入院医療費は引き続き全額公費負担となり、患者の自己負担は発生しません。 e. 5類感染症へ移行すると、標準予防策や飛沫予防策などの院内感染対策マニュアルもすべて廃止し、特別な対策は不要となります。
【解答・解説】
指定感染症の指定期間(最長2年)や類型移行は、感染症法および政令に基づく国(厚生労働省)の決定事項であり、個別の病院の判断で指定期間を延長したり、法律上の指定感染症として扱い続けることはできない。 a. ❌
指定感染症から5類感染症へ移行すると、感染症法に基づく「就業制限」や「入院勧告」の法的根拠は消失し、解除される。これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類へ移行した際と同様の制度的変化であり、スタッフや患者への説明において最も重要なポイントである。 b. ✅
5類感染症へ移行した場合、医師の届出義務は「直ちに」から「7日以内」へと緩和される。また、疾患によっては全数把握から定点把握へ変更されることもあるため、引き続き直ちに全数届出が義務付けられているとする記述は誤りである。 c. ❌
指定感染症における入院勧告に伴う入院医療費の公費負担は、5類感染症へ移行し入院勧告の法的根拠が消失することに伴い、原則として終了する(通常の保険診療となり自己負担が発生する)。ただし、国や自治体の判断で経過措置として一部公費支援が残る場合はあるが、「引き続き全額公費負担となる」とするのは誤りである。 d. ❌
5類感染症へ移行し法律上の厳しい措置が解除されたとしても、病原体の感染経路(飛沫感染や接触感染など)が変わるわけではない。したがって、院内感染対策としては引き続き標準予防策や経路別予防策(飛沫予防策など)を徹底する必要があり、対策が不要となるわけではない。 e. ❌
【正解】b
《法的対応の原則》
- 5類感染症移行後の主な変更点:
- 感染症法に基づく就業制限・入院勧告の解除
- 届出期限の緩和(直ちに → 7日以内)
- 入院医療費の公費負担の原則終了(通常保険診療へ)
《暗記ポイント》
- ★重要: 5類感染症には、感染症法に基づく「就業制限」や「入院勧告」は存在しない。
- ★重要: 5類移行後は、法律上の制限は解除されるが、院内での医学的な感染対策(標準予防策等)は継続する。
- 類型移行は、指定感染症の期間制限(最長2年)に伴う必然的なプロセスである。
問題(第9/9問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:55歳、男性 主訴:突然の高熱、全身の出血斑、意識障害 既往歴:高血圧症(アムロジピン5mg/日) 現病歴:アフリカの熱帯地域に1ヶ月滞在し、帰国した翌日に発症。救急搬送された。 検査値:WBC 1,200/μL、Plt 2.5万/μL、AST 850U/L、ALT 780U/L 服用薬:アムロジピン(アムロジン)5mg/日 身体所見:体温 40.2℃、全身に紫斑・点状出血あり。JCS III-200。 その他:国立感染症研究所での緊急解析の結果、これまでに人類で報告されたことのない全く新しい未知のウイルスが検出された。
【問題文】 この患者の疾患の法的取扱いについて、ICTの薬剤師として主治医と協議する。最も適切な判断として正しいものを選べ。
【選択肢】 a. この疾患は既知の1類感染症に類似しているため、直ちに「指定感染症」として政令指定の手続きを行うよう保健所に要請する。 b. これまで知られていなかった未知の疾患であり、極めて重大な影響を与えるおそれがあるため、「新感染症」として直ちに都道府県知事へ届け出る。 c. 未知の疾患であるため、感染症法上のどの類型にも該当せず、法律に基づく隔離や交通制限を行うことはできないと判断する。 d. 新感染症に該当するが、未知の疾患は治療法が確立していないため、届出はウイルスの詳細な性状が判明してから7日以内に行う。 e. この疾患は「新型インフルエンザ等感染症」に該当するため、インフルエンザの診療ガイドラインに準じた対応を直ちに開始する。
【解答・解説】
指定感染症は「既に知られている(既知の)」疾患を対象とする枠組みである。本症例のように、これまでに報告されたことのない全く新しい未知のウイルスによる疾患は、指定感染症には該当しない。 a. ❌
「既に知られている感染性の疾病とその病状や治療の結果が明らかに異なる(未知の)」疾患であり、国民の生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあるものは「新感染症」と定義される。新感染症の疑い患者を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出る義務があり、この判断が最も適切である。 b. ✅
感染症法では、未知の脅威に対応するために「新感染症」という類型を設けている。新感染症に対しては、1類感染症と同等以上の極めて強力な措置(入院措置、交通の制限、建物の立ち入り制限など)を法律に基づいて行うことが可能である。 c. ❌
新感染症は未知の脅威であり、初動の封じ込めが国家の危機管理上極めて重要である。したがって、詳細な性状の判明を待つことなく、疑いの段階で「直ちに」届け出なければならない。「7日以内」とするのは誤りである。 d. ❌
「新型インフルエンザ等感染症」は、新たに人から人に伝染する能力を有することとなったインフルエンザウイルス等を指す。本症例は出血熱様の症状を呈する未知のウイルスであり、インフルエンザとは異なるため、この類型には該当しない。 e. ❌
【正解】b
《法的対応の原則》
- 新感染症発生時の対応:
- 未知の重篤な感染症は「新感染症」として扱う。
- 疑いの段階で「直ちに」保健所長経由で都道府県知事へ届出。
- 1類感染症以上の厳格な隔離・交通制限等の措置が適用される。
《暗記ポイント》
- ★重要: 「未知」の重篤な感染症は「新感染症」であり、「指定感染症(既知)」とは明確に区別される。
- ★重要: 新感染症の届出は、詳細な調査を待たず「直ちに」行う。
- 新感染症には、感染症法上最も強力な措置(交通制限等)が用意されている。
【用語解説】 ・新感染症:人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状や治療の結果が明らかに異なる(未知の)疾患。 ・JCS(Japan Coma Scale):日本で広く用いられている意識障害の深度分類。III-200は「痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる」状態。
【出典】 ・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法) ・厚生労働省:感染症法に基づく医師の届出のお願い(最新版) ・日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第5版)