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院内製剤の調製及び使用に関する指針
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問題(第1/12問)❌
【出題基準】 大項目:Ⅱ. 基本的業務の向上を図る 中項目:Ⅱ-2:製剤 小項目:院内製剤の調製及び使用に関する指針について理解している。
【難易度】標準
【問題文】 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」において、院内製剤の使用に関する最終責任者と、調製および品質管理に関する責任者の組み合わせとして正しいものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 院内製剤の使用に関する最終責任者は病院長であり、調製および品質管理に関する責任者は薬剤部門責任者である。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。院内製剤の使用に関する最終責任は病院長が負い、調製・品質管理の責任は薬剤部門責任者が負う。
《核心》
- 院内製剤は薬機法に基づく製造販売承認を受けていないため、その有効性や安全性は国によって保証されていない。
- そのため、自施設内で患者に使用するにあたっては、医療機関の長である「病院長」が最終的な責任を負う体制を構築する必要がある。
- 一方で、実際の調製作業、無菌性の担保、有効期間(使用期限)の設定といった専門的な「品質管理」に関する責任は、薬学の専門家である「薬剤部門責任者(薬剤部長など)」が負うと指針で明確に規定されている。
《周辺知識》
- 院内製剤は「自施設の患者の治療」という目的でのみ調製が許されている。
- 病院長が最終責任を負うという原則から、他施設への院内製剤の提供は、自施設の管理下を離れることになり、薬機法上の「無許可製造販売」に抵触する恐れがあるため原則禁止されている。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要:院内製剤の最終責任者:病院長
- ★重要:調製・品質管理の責任者:薬剤部門責任者
- 責任の所在を「使用(病院全体)」と「調製・品質(薬剤部門)」で明確に切り分けて記憶すること。
a. ✅
問題(第2/12問)❌
【難易度】標準
【問題文】 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」における院内製剤の分類について、国内で承認されている医薬品を、承認されていない効能・効果、用法・用量で使用するために調製する製剤が該当する分類として正しいものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 分類2(承認医薬品の適応外使用)に該当する。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。承認薬を適応外の目的で調製するものは「分類2」に該当する。
《核心》
- 日本病院薬剤師会の指針(第2版)では、院内製剤をリスクに応じて3つに分類している。
- 分類1:承認医薬品の剤形変更等(適応内の使用。例:錠剤の散剤化)
- 分類2:承認医薬品の適応外使用(例:ある疾患の内服薬を、別疾患の外用剤として調製する)
- 分類3:未承認医薬品等(国内未承認の試薬などを用いた調製)
- 設問の「承認されている医薬品を、承認されていない効能・効果で使用する」ケースは、分類2の定義そのものである。
《周辺知識》
- 分類2は、医薬品としての品質はある程度担保されているものの、その疾患に対する有効性・安全性が確立していないため、分類1よりも高いリスクを伴う。
- したがって、分類2の院内製剤を使用する場合は、原則として倫理委員会(IRB)の承認と、患者からの文書による同意取得が必要となる。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要:分類1:承認薬の適応内使用(剤形変更など)
- ★重要:分類2:承認薬の適応外使用
- ★重要:分類3:未承認薬(試薬など)の使用
- リスクの大きさは「分類1 < 分類2 < 分類3」の順に高くなる。
a. ✅
問題(第3/12問)❌
【難易度】標準
【問題文】 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」において、分類1(承認医薬品の剤形変更等)に該当する院内製剤を調製・使用する際の手続きとして正しいものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 倫理委員会(IRB)の承認は原則不要であり、患者へのインフォームド・コンセントは口頭で行うことで可とされている。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。分類1はリスクが低いため、IRB承認は原則不要であり、ICは口頭でよい。
《核心》
- 分類1(承認医薬品の剤形変更等)は、すでに国から有効性と安全性が認められている医薬品を、承認された効能・効果の範囲内で使用するものである。
- 小児や嚥下困難患者のために錠剤を粉砕して散剤やシロップ剤にするなど、日常診療で頻繁に行われる医療行為である。
- そのため、他の分類(分類2・3)と比較してリスクが低く、迅速な対応が求められることから、倫理委員会(IRB)の事前承認は「原則不要」とされている。
- また、患者へのインフォームド・コンセント(IC)についても、文書による厳格な同意取得までは求められず、「口頭での説明と同意」で可とされている。
《周辺知識》
- ただし、分類1であっても、徐放性製剤の粉砕によるdose dumping(用量一過性放出)のリスクや、液剤化による吸収速度の変化(薬物動態への影響)には薬剤師として十分に注意を払う必要がある。
- 分類1であっても、調製記録および使用記録の作成・保存は必須である。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要:分類1の手続き:IRB承認=原則不要、IC=口頭で可。
- 比較暗記:
- 分類2(適応外):IRB原則必要、IC文書。
- 分類3(未承認):IRB必須、IC文書必須。
- 分類1は日常業務(粉砕・一包化・シロップ化など)に直結するため、手続きが簡略化されていると理解する。
a. ✅
問題(第4/12問)✅
【難易度】標準
【問題文】 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」において、分類2(承認医薬品の適応外使用)に該当する院内製剤を調製・使用する際の手続きとして正しいものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 原則として倫理委員会(IRB)の承認が必要であり、患者へのインフォームド・コンセントは文書により行う必要がある。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。分類2は適応外使用であり、有効性・安全性が未確立であるため、IRBの承認と文書によるICが原則必要である。
《核心》
- 分類2(承認医薬品の適応外使用)は、医薬品自体の品質は担保されているものの、対象となる疾患に対する有効性や安全性が国によって審査・承認されていない状態での使用となる。
- 予期せぬ副作用が発生するリスクや、期待する効果が得られないリスクがあるため、分類1(剤形変更等)よりも慎重な取り扱いが求められる。
- したがって、その使用の科学的・倫理的妥当性を担保するために、施設内の「倫理委員会(IRB)」等による事前審査と承認が「原則必要」とされている。
- また、患者に対しては、適応外使用であること、予期せぬリスクがあること、そして後述する「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる可能性があること等を十分に説明し、「文書による同意(IC)」を得ることが求められる。
《周辺知識》
- 適応外使用の根拠としては、国内外の診療ガイドライン、信頼性の高い医学論文、薬理学的な機序(標的分子の共通性など)がIRBで審査される。
- 緊急を要する救命措置など、IRBの事前承認を待ついとまがない例外的なケースを除き、原則として事前承認が必要である。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要:分類2の手続き:IRB承認=原則必要、IC=文書。
- 分類1(IRB不要・口頭IC)と分類3(IRB必須・文書IC必須)の中間に位置するが、実務上は分類3に近い厳格な手続きが求められると記憶する。
a. ✅
問題(第5/12問)✅
【難易度】標準
【問題文】 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」において、分類3(未承認医薬品等)に該当する院内製剤を調製・使用する際の手続きとして正しいものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 倫理委員会(IRB)の承認が必須であり、患者へのインフォームド・コンセントも文書により行うことが必須である。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。分類3は未承認薬を使用するため最もリスクが高く、IRB承認と文書によるICが「必須」である。
《核心》
- 分類3(未承認医薬品等)は、国内で医薬品として承認されていない化学物質(試薬など)を用いて調製する製剤である。
- 医薬品としての品質(純度、不純物の有無など)、有効性、安全性のいずれも国によって保証されていないため、3つの分類の中で最もリスクが高い。
- したがって、指針では分類2の「原則必要」よりも一段階厳しい表現が用いられており、倫理委員会(IRB)の承認が「必須」とされている。
- 同様に、患者へのインフォームド・コンセント(IC)についても、未承認薬であることの重大なリスクと、医薬品副作用被害救済制度の対象外であることを説明した上で、「文書による同意」を得ることが「必須」とされている。
《周辺知識》
- 分類3の院内製剤は、しばしば「臨床研究」としての枠組みで実施されることが多く、その場合は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」等の関連法規も遵守する必要がある。
- 試薬を使用する場合、不純物によるアレルギー反応(ハプテン化)や予期せぬ毒性に特に注意が必要である。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要:分類3の手続き:IRB承認=必須、IC=文書必須。
- キーワード:「未承認薬」=「最もハイリスク」=「手続きはすべて必須」。
a. ✅
問題(第6/12問)❌
【難易度】やや難
【問題文】 院内製剤の調製および使用に関する記述のうち、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 院内製剤の有効期間(使用期限)は、市販の医薬品と同様に製薬企業が提供する安定性データに基づき、病院長が決定しなければならない。 b. 院内製剤の調製記録および使用記録は、医療法に基づき、調製日から起算して少なくとも1年間保存すればよい。 c. 分類2(適応外使用)や分類3(未承認薬)の院内製剤によって重篤な副作用が発生した場合、原則として医薬品副作用被害救済制度の対象外となるため、事前の文書同意取得時にその旨を説明する必要がある。
【解答・解説】
a. ❌ 院内製剤の有効期間(使用期限)を設定する責任者は「病院長」ではなく「薬剤部門責任者」である。また、院内製剤は市販薬とは異なる独自の処方(基剤の変更、濃度の変更など)で調製されるため、製薬企業のデータだけでなく、薬剤部門責任者が物理的・化学的・微生物学的安定性に関する文献や独自の試験データに基づき、科学的根拠を持って設定しなければならない。
b. ❌ 院内製剤の調製記録および使用記録の保存期間は「1年間」ではない。指針では具体的な年数を一律に定めているわけではないが、一般的に医療法における診療録の保存期間(5年)や、薬機法における特定生物由来製品の記録保存期間などに準じて、施設ごとに適切な保存期間(通常は3〜5年以上)を規程で定めることが求められる。少なくとも1年という短期間で廃棄してはならない。
c. ✅ 医薬品副作用被害救済制度は、適正に使用された「承認医薬品」による健康被害を救済する制度である。したがって、承認外の目的で使用する分類2や、そもそも未承認である分類3の院内製剤による副作用は、原則として同制度の救済対象外となる。この不利益事項は患者にとって極めて重要であるため、事前のインフォームド・コンセント(文書による同意)において必ず説明しなければならない。
《暗記ポイント》
- ★重要:有効期間の設定責任者:薬剤部門責任者(病院長ではない)。
- ★重要:副作用被害救済制度の適用外:分類2(適応外使用)および分類3(未承認薬)。
- 記録の保存:トレーサビリティ確保のため、施設規程に基づき長期間(通常3〜5年以上)保存する。
【正解】c
問題(第7/12問)
【難易度】やや難
【問題文】 院内製剤の他施設への提供に関する記述のうち、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 院内製剤は、自施設の患者の治療を目的として調製されるものであるため、他の医療機関から提供の依頼があった場合でも、薬機法上の無許可製造販売に抵触する恐れがあり、原則として提供してはならない。 b. 地域の医療連携を推進する観点から、同一の二次医療圏内にあり、かつ連携協定を結んでいる医療機関に対してであれば、院内製剤を自由に譲渡・販売することができる。 c. 分類1(承認医薬品の剤形変更等)に該当する院内製剤であれば、リスクが低いため、他の医療機関の医師からの処方箋に基づいて調製し、提供することが認められている。
【解答・解説】
a. ✅ 院内製剤は、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく製造販売承認を受けていない製剤である。これが許容されているのは、あくまで「医師の処方箋に基づき、自施設の患者の治療のために薬剤師が調製する(調剤の延長)」という枠組みの中においてのみである。これを他の病院やクリニックに譲渡・提供することは、自施設の管理下を離れて不特定多数に医薬品を供給する行為とみなされ、薬機法における「無許可製造販売」に抵触する恐れがあるため、原則として固く禁じられている。
b. ❌ 地域の医療連携協定や二次医療圏の枠組みがあったとしても、薬機法上の「無許可製造販売」の例外とはならない。院内製剤の他施設への譲渡・販売は、いかなる連携協定下であっても原則禁止である。
c. ❌ 分類1(剤形変更等)であっても、院内製剤であることに変わりはない。リスクの大小(分類1〜3)に関わらず、自施設で調製した未承認の製剤を他施設へ提供することは薬機法違反の恐れがあり、認められていない。他施設の患者が必要とする場合は、その患者が自施設を受診し、自施設の医師が処方箋を発行する必要がある。
《暗記ポイント》
- ★重要:他施設への提供:分類に関わらず原則禁止。
- 法的根拠:薬機法における「無許可製造販売」に抵触する恐れがあるため。
- 例外の否定:医療連携協定やリスクの低さ(分類1)を理由とした提供も不可。
【正解】a
問題(第8/12問)✅
【難易度】やや難
【問題文】 院内製剤の品質管理および安定性に関する記述のうち、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 院内製剤として水溶液を調製する場合、エステル結合を持つ薬物は加水分解を受けやすいため、溶液のpHを最大安定pHに調整するなどの処方設計が必要である。 b. 院内製剤として点眼薬を調製する場合、無菌性を担保するために高圧蒸気滅菌を行うが、エンドトキシンは熱に弱いため、この滅菌操作によって完全に不活化される。 c. 院内製剤として徐放性製剤を粉砕して散剤とする場合、薬物の吸収速度定数(ka)は低下し、最高血中濃度到達時間(Tmax)は延長するため、過量投与のリスクは低下する。
【解答・解説】
a. ✅ エステル結合(例:アスピリン)やアミド結合を持つ薬物は、水溶液中で加水分解を受けやすい。加水分解の速度は溶液のpHに大きく依存するため、院内製剤(液剤)を調製する際は、分解速度が最小となるpH(最大安定pH)に緩衝液等を用いて調整する処方設計が極めて重要である。これは薬剤部門責任者が有効期間を設定する際の重要な科学的根拠となる。
b. ❌ エンドトキシン(グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖)は非常に耐熱性が高く、通常の高圧蒸気滅菌(121℃、20分など)では不活化されない。エンドトキシンを破壊するためには、乾熱滅菌(250℃、30分以上など)というより過酷な条件が必要である。点眼薬や注射薬の調製においては、無菌性だけでなくエンドトキシンの混入(発熱性物質)にも注意を払う必要がある。
c. ❌ 徐放性製剤を粉砕すると、徐放機能(ゆっくり溶ける仕組み)が破壊される。その結果、薬物が一気に放出・溶解するため、吸収速度定数(ka)は「増大」し、最高血中濃度到達時間(Tmax)は「短縮」し、最高血中濃度(Cmax)が急上昇する。これをdose dumping(用量一過性放出)と呼び、重篤な副作用(過量投与状態)を引き起こす危険性が高まるため、徐放性製剤の粉砕は原則禁忌である。
《暗記ポイント》
- ★重要:加水分解とpH:エステル・アミド結合は加水分解されやすい。最大安定pHへの調整が必要。
- ★重要:エンドトキシンの耐熱性:高圧蒸気滅菌では失活しない(乾熱滅菌が必要)。
- ★重要:徐放性製剤の粉砕:ka増大、Tmax短縮、Cmax上昇(dose dumping)により副作用リスク増大。
【正解】a
問題(第9/12問)❌
【難易度】難
【問題文】 院内製剤の分類と手続きに関する記述のうち、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 国内で承認されている内服薬を、承認されていない疾患に対する外用剤として調製する場合、分類3(未承認医薬品等)に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認が必須である。 b. 国内で承認されている錠剤を、嚥下困難な患者のために粉砕して散剤とする場合、分類1(承認医薬品の剤形変更等)に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認は原則不要であり、インフォームド・コンセントは口頭でよい。 c. 国内で医薬品として承認されていない試薬を用いて院内製剤を調製する場合、分類2(承認医薬品の適応外使用)に該当するため、原則として倫理委員会(IRB)の承認と文書による同意が必要である。
【解答・解説】
a. ❌ 国内で「承認されている」医薬品を、承認されていない効能・効果(別疾患)や用法・用量(内服→外用)で使用するために調製する場合は、「分類2(承認医薬品の適応外使用)」に該当する。分類3(未承認医薬品等)は、国内で医薬品として全く承認されていない物質(試薬など)を用いる場合である。
b. ✅ 国内で承認されている医薬品を、承認された効能・効果の範囲内で、患者の状態(嚥下困難など)に合わせて剤形を変更する(錠剤→散剤)行為は、「分類1(承認医薬品の剤形変更等)」に該当する。分類1はリスクが低いため、指針において倫理委員会(IRB)の承認は「原則不要」、インフォームド・コンセント(IC)は「口頭で可」と規定されている。
c. ❌ 国内で医薬品として承認されていない「試薬」を用いて調製する場合は、「分類3(未承認医薬品等)」に該当する。分類2ではない。分類3は最もリスクが高いため、倫理委員会(IRB)の承認が「必須」であり、文書による同意も「必須」である。
《暗記ポイント》
- 分類の定義の正確な理解:
- 承認薬の剤形変更(適応内)= 分類1
- 承認薬の適応外使用 = 分類2
- 未承認薬(試薬など)の使用 = 分類3
- 誤答肢は、分類の定義と番号を意図的にずらして作成されることが多い(類似の法則)ため、定義を正確に結びつけて記憶すること。
【正解】b
問題(第10/12問)❌
【出題基準】 大項目:Ⅱ. 基本的業務の向上を図る 中項目:Ⅱ-2:製剤 小項目:院内製剤の調製及び使用に関する指針について理解している。
【難易度】やや難
【症例提示】 患者:4歳、男児 主訴:錠剤の嚥下困難 既往歴:先天性心疾患 現病歴:心不全管理のため、スピロノラクトン(アルダクトンA)錠25mgが処方されているが、最近になって錠剤を吐き出すようになった。 検査値:血清K 4.2mEq/L、血清Cr 0.3mg/dL 服用薬:スピロノラクトン(アルダクトンA)錠25mg 0.5錠 1日1回 朝食後 身体所見:特記事項なし。
【問題文】 主治医から病棟薬剤師に対し、「錠剤が飲めないので、アルダクトンA錠を粉砕し、単シロップを加えて液剤(院内製剤)として調製してほしい」と依頼があった。 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」に基づく対応として、最も適切なものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 本依頼は「分類2(承認医薬品の適応外使用)」に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認を得た上で調製する。 b. 本依頼は「分類3(未承認医薬品等)」に該当するため、保護者から文書による同意を得た上で調製する。 c. 本依頼は「分類1(承認医薬品の剤形変更等)」に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認は原則不要であり、保護者への口頭での説明と同意で調製可能であると主治医に伝える。 d. 院内製剤として調製した場合、万が一副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となるため、その旨を保護者に文書で説明し同意を得る必要がある。 e. 院内製剤の有効期間は製薬企業が保証する使用期限と同一となるため、錠剤の使用期限をそのまま液剤の有効期間として設定し調製する。
【解答・解説】
a. ❌ スピロノラクトンは国内で承認されている医薬品であり、心不全に対する使用は承認された効能・効果の範囲内(適応内)である。したがって、本依頼は「分類2(承認医薬品の適応外使用)」には該当しない。
b. ❌ スピロノラクトンは国内承認薬であり、未承認の化学物質(試薬など)ではないため、「分類3(未承認医薬品等)」には該当しない。
c. ✅ 国内で承認されている医薬品を、承認された効能・効果の範囲内で、患者の状態(小児の嚥下困難など)に合わせて剤形を変更する(錠剤の粉砕・シロップ化)行為は、「分類1(承認医薬品の剤形変更等)」に該当する。分類1はリスクが低いため、倫理委員会(IRB)の承認は「原則不要」であり、患者(保護者)へのインフォームド・コンセント(IC)も「口頭での説明と同意」で可とされている。病棟薬剤師として、この指針に基づき迅速に調製・交付の手配を行うことが最も適切な対応である。
d. ❌ 分類1(承認医薬品の剤形変更等)に該当する院内製剤は、適正使用の範囲内とみなされるため、万が一重篤な副作用が発生した場合は、原則として医薬品副作用被害救済制度の「対象となる」。対象外となるのは、分類2(適応外使用)や分類3(未承認薬)の場合である。
e. ❌ 錠剤を粉砕して水溶液(シロップ剤)に変更した場合、薬物の物理的・化学的・微生物学的安定性は大きく変化する(加水分解や微生物汚染のリスク増大)。したがって、元の錠剤の使用期限をそのまま適用することはできない。薬剤部門責任者が、液剤としての安定性データに基づき、新たな有効期間(例:冷所保存で14日間など)を設定する必要がある。
【正解】c
《ガイドライン選択薬》
- 小児心不全におけるアルドステロン拮抗薬:スピロノラクトン(アルダクトンA) ※本症例は剤形変更の妥当性を問うものであり、薬剤選択自体はガイドラインに準拠している。
《暗記ポイント》
- ★重要:分類1の判断:承認薬 + 適応内 + 剤形変更 = 分類1。
- ★重要:分類1の手続き:IRB原則不要、口頭ICで可。救済制度の対象となる。
- 有効期間の再設定:剤形変更(特に液剤化)を行った場合、元の使用期限は無効となり、薬剤部門責任者が新たに有効期間を設定する。
問題(第11/12問)✅
【難易度】難
【症例提示】 患者:45歳、女性 主訴:難治性の皮膚潰瘍 既往歴:特記事項なし 現病歴:標準治療に抵抗性の皮膚潰瘍に対し、主治医が海外の医学論文で有効性が報告されている国内未承認の化学物質(試薬)を用いた軟膏の調製を計画している。 検査値:特記事項なし 服用薬:なし 身体所見:右下腿に難治性潰瘍あり。
【問題文】 主治医から薬剤部門責任者に対し、「この試薬を用いて院内製剤(軟膏)を調製し、患者に使用したい」と相談があった。 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」に基づく薬剤師の対応・説明として、最も適切なものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 本製剤は「分類1(承認医薬品の剤形変更等)」に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認は不要であり、直ちに調製可能であると回答する。 b. 本製剤は「分類2(承認医薬品の適応外使用)」に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認は原則必要であるが、同意取得は口頭でよいと説明する。 c. 本製剤は「分類3(未承認医薬品等)」に該当するため、倫理委員会(IRB)の承認が必須であり、患者への文書による同意取得も必須であると説明する。 d. 未承認の試薬を使用する場合でも、病院長が最終責任を負うため、病院長の許可さえあれば倫理委員会(IRB)の審査を省略できると説明する。 e. 本製剤によって重篤な接触性皮膚炎(IV型アレルギー)が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度によって救済されるため、患者に安心して使用するよう説明する。
【解答・解説】
a. ❌ 国内未承認の化学物質(試薬)を用いるため、「分類1(承認医薬品の剤形変更等)」には該当しない。
b. ❌ 国内で医薬品として承認されていない物質を用いるため、「分類2(承認医薬品の適応外使用)」には該当しない。分類2は、あくまで「国内承認薬」を適応外で用いるケースである。
c. ✅ 国内で医薬品として承認されていない化学物質(試薬など)を用いて調製する院内製剤は、「分類3(未承認医薬品等)」に該当する。分類3は、有効性・安全性・品質のいずれも国によって保証されていないため、3つの分類の中で最もリスクが高い。したがって、指針において倫理委員会(IRB)の承認が「必須」であり、患者への「文書による同意取得」も「必須」と規定されている。薬剤部門責任者として、主治医にこの厳格な手続きの必要性を説明し、業務設計を行うことが最も適切な対応である。
d. ❌ 院内製剤の最終責任は病院長にあるが、だからといって倫理委員会(IRB)の審査を省略できるわけではない。分類3においては、科学的・倫理的妥当性を客観的に評価するため、IRBの承認が必須である。
e. ❌ 医薬品副作用被害救済制度は、適正に使用された「承認医薬品」による健康被害を救済する制度である。分類3(未承認薬)の院内製剤によって重篤な副作用(アレルギー等)が生じた場合、原則として同制度の救済対象外となる。この重大な不利益事項は、事前の文書同意(IC)において必ず患者に説明しなければならない。
【正解】c
《ガイドライン選択薬》
- 難治性皮膚潰瘍に対する標準治療薬:トラフェルミン(フィブラストスプレー)、アルプロスタジル アルファデクス(プロスタンディン軟膏)等 ※本症例は標準治療不応例に対する未承認薬使用の妥当性を問うものである。
《暗記ポイント》
- ★重要:分類3の判断:未承認薬(試薬など)の使用 = 分類3。
- ★重要:分類3の手続き:IRB承認必須、文書IC必須。
- ★重要:救済制度の対象外:未承認薬による副作用は救済制度の対象外となるため、事前の文書説明が不可欠。
問題(第12/12問)✅
【難易度】難
【症例提示】 患者:該当なし(他施設からの依頼対応) 主訴:該当なし 既往歴:該当なし 現病歴:該当なし 検査値:該当なし 服用薬:該当なし 身体所見:該当なし
【問題文】 あなたの勤務する病院では、眼科医の処方に基づき、特定の角膜疾患に対する特殊な点眼薬(分類2に該当する院内製剤)を無菌室で調製している。ある日、近隣の眼科クリニックの院長から薬剤部宛てに電話があり、「当院にも同じ疾患の患者がいるが、当院には無菌調製設備がないため、そちらの病院で調製している点眼薬を当院の患者用に譲ってほしい。費用は支払う。」と依頼された。 この依頼に対する病棟・薬局薬剤師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
【選択肢】 a. 地域の医療連携を推進するため、クリニックの医師からの処方箋をFAXで受け取れば、調製して譲渡することが可能であると回答する。 b. 院内製剤の他施設への提供は、薬機法における「無許可製造販売」に抵触する恐れがあり原則禁止されているため、依頼には応じられないと回答する。 c. 分類2の院内製剤はリスクが高いため譲渡できないが、分類1に該当する製剤であれば譲渡可能であると回答する。 d. 病院長同士の合意書を交わし、クリニック側で倫理委員会(IRB)の承認を得れば、例外的に譲渡可能であると回答する。 e. 医薬品副作用被害救済制度の対象外であることをクリニックの患者に文書で説明し、同意書を当院に提出してもらえば譲渡可能であると回答する。
【解答・解説】
a. ❌ 院内製剤は「自施設の患者」に対して、自施設の医師の処方箋に基づいて調製・交付されるものである。他施設の医師からの処方箋に基づいて調製し、他施設へ提供することは認められていない。
b. ✅ 院内製剤は、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく製造販売承認を受けていない製剤である。これを他の病院やクリニックに譲渡・提供することは、自施設の管理下を離れて医薬品を供給する行為とみなされ、薬機法における「無許可製造販売」に抵触する恐れがある。したがって、日本病院薬剤師会の指針においても、院内製剤の他施設への提供は原則として固く禁じられている。無菌設備がない等の事情があっても、依頼には応じられないと回答するのが法令遵守の観点から最も適切な対応である。(※当該患者が自施設を受診し、自施設の医師が処方・管理する場合は調製可能である。)
c. ❌ 他施設への提供禁止の原則は、院内製剤の分類(分類1〜3)に関わらず適用される。分類1(剤形変更等)であっても、他施設への譲渡は薬機法違反の恐れがあるため不可である。
d. ❌ 病院長同士の合意や、他施設でのIRB承認があったとしても、薬機法上の「無許可製造販売」の例外とはならない。
e. ❌ 文書同意や救済制度対象外の説明は、自施設の患者に対して分類2・3の院内製剤を使用する際の手続きである。これを行ったとしても、他施設への提供(無許可製造販売)が正当化されるわけではない。
【正解】b
《暗記ポイント》
- ★重要:他施設への提供禁止:院内製剤の他施設への譲渡・販売は、薬機法(無許可製造販売)に抵触する恐れがあるため、いかなる理由(連携、設備不足、分類1など)があっても原則禁止である。
- 実務上の対応:他院の患者が院内製剤を必要とする場合は、自院を受診してもらい、自院の医師の管理下で処方・交付する体制をとる必要がある。
【用語解説】 ・IRB(Institutional Review Board / 施設内倫理委員会):人を対象とする医学系研究や未承認薬の使用などについて、倫理的・科学的妥当性を審査する機関。 ・IC(Informed Consent / インフォームド・コンセント):十分な説明を受けた上での同意。 ・dose dumping(用量一過性放出):徐放性製剤が粉砕等により破壊され、薬物が急速に放出される現象。
【出典】 ・日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針(第2版)」(2022年3月) ・医薬品医療機器等法(薬機法)
フェーズ3(実出題)はすべて完了しました。フェーズ1で確定した全12問(一問一概念問題9問+症例問題3問)の出題が完了し、カバー率100%を達成しています。本小項目「院内製剤の調製及び使用に関する指針について理解している。」の学習はこれで終了です。