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がん化学療法1:作用機序以外

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がん化学療法1:作用機序以外 解説

【暗記】がん化学療法1・作用機序以外

ご指示ありがとうございます。フェーズ2がすべて完了いたしましたので、これよりフェーズ3(実出題)を開始いたします。

フェーズ1で確定した【全41問(一問一概念問題35問+症例問題6問)】について、網羅性・知識完全性を最優先に出力してまいります。 今回は第1問〜第3問(制吐薬・CINVマネジメント)を出力します。


問題(第1/41問)❌️ 【出題基準】 大項目: Ⅴ. ファーマシューティカルケアを実践する 中項目: Ⅴ-1:医薬品(製剤)特性 小項目: 医薬品の作用機序、副作用及び体内動態、相互作用等について理解している。・がん化学療法

【難易度】 標準

【問題文】 高度催吐性リスク(HEC)に分類される抗悪性腫瘍薬(例:シスプラチン)を投与する際の、急性期悪心・嘔吐に対する標準的な予防的制吐薬の組み合わせとして、国内ガイドラインで最も推奨されているものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. パロノセトロン(アロキシ) + デキサメタゾン(デカドロン) の2剤併用 b. アプレピタント(イメンド) + パロノセトロン(アロキシ) + デキサメタゾン(デカドロン) の3剤併用 c. アプレピタント(イメンド) + パロノセトロン(アロキシ) + デキサメタゾン(デカドロン) + オランザピン(ジプレキサ) の4剤併用 d. オランザピン(ジプレキサ) + パロノセトロン(アロキシ) の2剤併用 e. アプレピタント(イメンド) + デキサメタゾン(デカドロン) + オランザピン(ジプレキサ) の3剤併用

【解答・解説】 a. ❌ MEC(中等度催吐性リスク)等に対する選択肢であり、HECの予防としては不十分である。 b. ❌ 以前の標準治療であったが、最新のガイドラインにおいては、より強力な予防効果を得るためにオランザピンを加えた4剤併用が基本となっている。 c. ✅ 正しい。日本癌治療学会の制吐薬適正使用ガイドラインにおいて、シスプラチン等のHECレジメンに対する急性期および遅発期悪心・嘔吐の標準的予防法は、NK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾン、オランザピンの4剤併用である。 d. ❌ NK1受容体拮抗薬やデキサメタゾンが含まれておらず、HECの予防として不適切である。 e. ❌ 5-HT3受容体拮抗薬が含まれておらず、急性期の主要な原因である末梢性セロトニン経路を遮断できないため不適切である。

【正解】 c


問題(第2/41問)🟢 【難易度】 標準

【問題文】 高度催吐性リスク(HEC)抗がん剤の制吐療法において使用されるオランザピン(ジプレキサ)の臨床的位置づけおよび特徴に関する記述のうち、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 主に消化管粘膜の5-HT3受容体を単独で遮断することにより、急性期の悪心・嘔吐のみを特異的に抑制する。 b. 錐体外路症状(EPS)の発現リスクがハロペリドール(セレネース)などの定型抗精神病薬よりも高いため、高齢者には禁忌である。 c. HECレジメンにおいては、急性期(Day1)のみに単回投与することが推奨されている。 d. 多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)であり、ドパミン受容体やセロトニン受容体など複数の受容体を遮断することで、急性期および遅発期の悪心・嘔吐を予防する。 e. 強力なCYP3A4誘導作用を持つため、併用するデキサメタゾン(デカドロン)の血中濃度を著しく低下させる。

【解答・解説】 a. ❌ 5-HT3受容体を単一に遮断するのはパロノセトロンなどの5-HT3受容体拮抗薬である。オランザピンは単一の受容体遮断薬ではない。 b. ❌ オランザピンは非定型抗精神病薬であり、定型抗精神病薬に比べて錐体外路症状のリスクは低い。高齢者へは慎重投与であるが禁忌ではない(ただし糖尿病患者には禁忌)。 c. ❌ HECの予防においては、急性期(Day1)だけでなく遅発期(Day2〜4)にかけて連日投与することが推奨されている。 d. ✅ 正しい。オランザピン(ジプレキサ)はMARTAであり、D2、5-HT2c、5-HT3、H1など複数の受容体を遮断し、広範かつ強力な制吐作用を示す。 e. ❌ オランザピンに強力なCYP3A4誘導作用はない。なお、NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント(イメンド)はCYP3A4阻害作用を持つため、併用するデキサメタゾン(デカドロン)の減量が必要である。

【正解】 d


問題(第3/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 シスプラチン(ランダ)などの高度催吐性リスク(HEC)抗がん剤投与時に生じる「遅発期悪心・嘔吐(投与後24時間〜120時間)」の予防に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 遅発期悪心・嘔吐の主たる原因は、抗がん剤によって破壊された消化管粘膜からの大量のセロトニン放出である。 b. 遅発期を予防するため、パロノセトロン(アロキシ)をDay 2からDay 4まで毎日静脈内投与する。 c. アプレピタント(イメンド)は遅発期には効果がないため、Day 1のみの投与とする。 d. デキサメタゾン(デカドロン)およびオランザピン(ジプレキサ)は、遅発期悪心・嘔吐を防ぐためDay 2からDay 4まで継続投与する。 e. 遅発期の悪心・嘔吐が出現したことを確認してから、初めて制吐薬の投与を開始することが推奨されている。

【解答・解説】 a. ❌ 消化管粘膜からのセロトニン放出が主に関与するのは「急性期(24時間以内)」である。遅発期は中枢のサブスタンスPやドパミンの関与が大きい。 b. ❌ パロノセトロン(アロキシ)は半減期が極めて長く(約40時間)、Day 1の単回投与のみで遅発期まで十分な効果が持続するため、連日投与は不要である。 c. ❌ アプレピタント(イメンド)は遅発期の主な原因であるサブスタンスPを強力に遮断するため、Day 1からDay 3まで連日投与する。 d. ✅ 正しい。遅発期の悪心・嘔吐を継続的に抑制するため、デキサメタゾン(デカドロン)とオランザピン(ジプレキサ)はDay 2〜4(レジメンによってはDay 2〜3)にかけて連日投与することが制吐薬適正使用ガイドラインで推奨されている。 e. ❌ 制吐療法は「事前の予防的投与」が絶対原則であり、症状が出現してから投与を開始する(レスキュー投与)のは予防失敗を意味する。

【正解】 d


【用語解説】 ・CINV (Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting): 化学療法誘発性悪心・嘔吐。 ・HEC (Highly Emetogenic Chemotherapy): 高度催吐性リスク抗がん剤。制吐薬を予防投与しない場合、90%以上の患者で嘔吐が生じる。 ・MEC (Moderately Emetogenic Chemotherapy): 中等度催吐性リスク抗がん剤。 ・NK1受容体: ニューロキニン1受容体。嘔吐中枢に関与し、サブスタンスPが結合する。 ・5-HT3受容体: セロトニン受容体サブタイプの一つ。急性期の嘔吐経路に関与する。 ・MARTA (Multi-Acting Receptor Targeted Antipsychotic): 多元受容体標的化抗精神病薬。

【出典】 ・日本癌治療学会「制吐薬適正使用ガイドライン 第3版」(2023年) ・PMDA 添付文書(オランザピン、アプレピタント、パロノセトロン等 最新版) ・https://kusuri-jouhou.com/pharmacology/ (フェーズ2参照内容)


次回は、第4問〜第6問(FN予防・心毒性マネジメント等)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。自動継続出題も可能です。

問題(第4/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 発熱性好中球減少症(FN)の発症リスクが高いがん化学療法を実施する際、G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤を用いた「一次予防的投与」に関する記述として、ガイドライン上最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. FN発症リスクが10%以上と予測されるレジメンを実施するすべての患者に対して、一次予防的投与が推奨される。 b. ペグフィルグラスチム(ジーラスタ)を一次予防として投与する場合、抗悪性腫瘍薬の投与当日に同時静注することが最も効果的である。 c. FN発症リスクが20%以上と予測されるレジメンを実施する患者に対して、G-CSF製剤の一次予防的投与が推奨される。 d. 前コースでFNを発症しなかった患者に対しては、次コースのレジメンのリスクにかかわらず予防的投与を行ってはならない。 e. 好中球数が1,000/μL未満に低下したことを血液検査で確認した時点で、直ちに予防的投与を開始する。

【解答・解説】 a. ❌ 一次予防的投与が推奨される基準は、FN発症リスクが「20%以上」と予測されるレジメンである(10〜20%の場合は患者背景因子を考慮して判断する)。 b. ❌ ペグフィルグラスチム(ジーラスタ)などのG-CSF製剤は、細胞障害性抗がん剤の投与当日に投与すると、急激に増殖した好中球前駆細胞が抗がん剤の標的となり、逆に骨髄抑制を悪化させる危険がある。そのため、原則として抗がん剤投与の翌日以降(24〜72時間以内)に投与する。 c. ✅ 正しい。「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン」において、FN発症リスクが20%以上のレジメン(例:乳がんのドセタキセル・シクロホスファミド療法など)を実施する場合、G-CSF製剤の一次予防的投与が強く推奨されている。 d. ❌ 前コースでのFN発症の有無にかかわらず、レジメン自体のFN発症リスクが20%以上であれば、初回コースから一次予防的投与の対象となる。 e. ❌ 骨髄抑制が確認されてから投与を開始するのは「治療的投与」に近い考え方であり、「事前の一次予防」とは異なる。

【正解】 c


問題(第5/41問)🟢 【難易度】 やや難

【問題文】 がん化学療法実施中の患者が、好中球数500/μL未満かつ腋窩温37.5℃の発熱を呈し、発熱性好中球減少症(FN)と診断された。この際の初期対応に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 血液培養のための採血は、抗菌薬投与後に実施しなければならない。 b. 経験的治療(エンピリック・セラピー)として、グラム陽性球菌に特化したバンコマイシン(バンコマイシン)単独投与を直ちに開始する。 c. 感染源が特定されるまで抗菌薬の投与は控え、解熱鎮痛薬のみで経過観察を行う。 d. G-CSF製剤の治療的投与はすべてのFN患者にルーチンで行うことが推奨されている。 e. 速やかに血液培養を採取した後、1時間以内に抗緑膿菌活性を持つ広域β-ラクタム系抗菌薬を静脈内投与する。

【解答・解説】 a. ❌ 抗菌薬投与後に血液培養を行うと、原因菌の検出率が著しく低下するため、血液培養のための採血は必ず「抗菌薬投与前」に行う。 b. ❌ FNにおける致命的な起炎菌は緑膿菌などのグラム陰性桿菌であることが多い。そのため、初期治療からバンコマイシン(バンコマイシン)単独投与を行うのは不適切である。 c. ❌ FN発症時の致死率は極めて高いため、感染源や起炎菌が特定されるのを待たずに、直ちに広域抗菌薬の投与を開始(エンピリック・セラピー)しなければならない。 d. ❌ FNを発症した患者に対するG-CSF製剤の「治療的投与」は、敗血症や肺炎の合併、好中球数100/μL未満など、重症化リスクが高い場合に限って考慮され、全例へのルーチン投与は推奨されない。 e. ✅ 正しい。FN診断時は、血液培養を迅速に採取した後、1時間以内にセフェピム(マキシピーム)やタゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン)などの抗緑膿菌活性を持つ広域β-ラクタム系抗菌薬の点滴静注を開始することがガイドライン上の絶対原則である。

【正解】 e


問題(第6/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬であるドキソルビシン(アドリアシン)の毒性に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 休薬により速やかに回復する可逆的な心機能低下を特徴とし、生涯の累積投与量に制限はない。 b. 投与により心筋細胞内にスーパーオキシド等の活性酸素種(ROS)が発生し、不可逆的な心不全を引き起こすため、生涯累積投与量の上限が設定されている。 c. 末梢神経への蓄積性が高いため、累積投与量に依存した可逆性の手袋・靴下型感覚ニューロパチーを引き起こす。 d. 急性心筋梗塞のリスクが極めて高いため、投与中は常にニトログリセリン(ニトロペン)を持続静注する必要がある。 e. 心毒性を防ぐため、投与前に炭酸水素ナトリウム(メイロン)を投与し、尿をアルカリ化しなければならない。

【解答・解説】 a. ❌ アントラサイクリン系の心毒性は「不可逆的」であり、生涯の累積投与量に厳格な上限(例:ドキソルビシンで500mg/m²)が設定されている。可逆的な心機能低下を特徴とするのはトラスツズマブ(ハーセプチン)である。 b. ✅ 正しい。アントラサイクリン系は心筋細胞内で活性酸素種を発生させ、心筋の脂質過酸化やアポトーシスを誘導することで不可逆的な心機能障害(うっ血性心不全等)を引き起こす。 c. ❌ 末梢神経障害(手袋・靴下型のしびれなど)を特徴とするのは、タキサン系やビンカアルカロイド系、プラチナ系などである。 d. ❌ アントラサイクリン系による心毒性は主に心筋症・心不全であり、冠動脈の虚血(急性心筋梗塞)に特化したニトログリセリン(ニトロペン)のルーチン予防は行われない。虚血性心疾患に注意が必要なのはフッ化ピリミジン系である。 e. ❌ 尿のアルカリ化が必要なのは、メトトレキサート(メソトレキセート)の大量療法時における腎毒性予防である。

【正解】 b


【用語解説】 ・FN (Febrile Neutropenia): 発熱性好中球減少症。好中球数500/μL未満かつ発熱(腋窩温37.5℃以上など)を伴う、致死的な感染症のハイリスク状態。 ・G-CSF (Granulocyte Colony-Stimulating Factor): 顆粒球コロニー形成刺激因子。好中球の産生を促進する。 ・エンピリック・セラピー (Empiric therapy): 経験的治療。起炎菌が特定される前に、想定される原因菌をカバーする抗菌薬を投与すること。

【出典】 ・日本癌治療学会「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン 改訂第3版」(2022年) ・PMDA 添付文書(ペグフィルグラスチム、ドキソルビシン 最新版)


次回は、第7問〜第9問(トラスツズマブの心毒性、フッ化ピリミジンの心毒性、間質性肺疾患)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第7/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 抗HER2抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン)の心毒性に関する特徴として、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬(例:ドキソルビシン)の心毒性と比較した場合の記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 累積投与量に強く依存して発症し、生涯投与量の上限が設定されている。 b. 心筋細胞の壊死を伴うため、一度低下した左室駆出率(LVEF)は休薬しても回復しない(不可逆的である)。 c. 心毒性の主な原因は、心筋における活性酸素種(ROS)の大量発生による脂質過酸化である。 d. 左室駆出率(LVEF)の低下として現れることが多く、休薬や適切な心不全治療により回復可能な「可逆的」な障害であることが多い。 e. アントラサイクリン系薬剤と併用することで心毒性の発現リスクが相殺され、安全性が高まる。

【解答・解説】 a. ❌ 累積投与量に強く依存し、生涯投与量の上限(例: 500mg/m²)が設定されているのはアントラサイクリン系の特徴である。トラスツズマブには生涯累積投与量の上限は設定されていない。 b. ❌ 心筋の壊死・アポトーシスを伴う不可逆的な障害はアントラサイクリン系の特徴である。 c. ❌ 活性酸素種(ROS)の発生による心筋障害はアントラサイクリン系の機序である。トラスツズマブの心毒性機序は、心筋細胞に発現するHER2シグナルの遮断による心筋の修復・生存シグナルの阻害と考えられている。 d. ✅ 正しい。トラスツズマブによる心機能低下(LVEF低下)は、心筋の器質的破壊を伴わないことが多く、休薬によって心機能が回復する「可逆的(Type II)」な障害であるという重要な特徴がある。 e. ❌ アントラサイクリン系薬剤とトラスツズマブを同時に併用すると、心毒性の発現頻度と重症度が著しく相加・相乗的に増強されるため、同時併用は原則として避けられる(逐次投与が行われる)。

【正解】 d


問題(第8/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 フルオロウラシル(5-FU)やカペシタビン(ゼローダ)などのフッ化ピリミジン系抗がん剤が引き起こす心毒性の特徴として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 心筋の不可逆的な壊死を引き起こすため、投与前に必ずデクスラゾキサン(サビーン)を予防投与する。 b. 冠動脈の攣縮(スパズム)や血管内皮細胞の障害を引き起こし、狭心症や急性心筋梗塞などの虚血性心疾患を誘発することがある。 c. QT間隔の延長を引き起こしやすいため、ニロチニブ(タシグナ)と同様に食後投与を厳格に避ける必要がある。 d. 心機能の低下を防ぐため、血中マグネシウム濃度のモニタリングと補充が必須である。 e. 心毒性は投与初期には全く見られず、投与後数年経過してから遅発性に発症することが最大の特徴である。

【解答・解説】 a. ❌ 不可逆的な心筋壊死を起こすのはアントラサイクリン系である。また、デクスラゾキサン(サビーン)はアントラサイクリン系の血管外漏出の解毒薬である。 b. ✅ 正しい。フッ化ピリミジン系(5-FU、カペシタビン、S-1等)は、冠動脈の攣縮(冠攣縮)や直接的な血管内皮障害を引き起こし、胸痛、狭心症、心電図異常、まれに急性心筋梗塞などの「虚血性心疾患」を誘発することがある。安静時胸痛などを訴えた場合は直ちに投与を中止し、循環器科と連携する必要がある。 c. ❌ 食後投与による血中濃度上昇とQT間隔延長に注意が必要なのは、ニロチニブ(タシグナ)などの一部のチロシンキナーゼ阻害薬である。 d. ❌ 低マグネシウム血症に注意し、補充が必要なのはシスプラチン(ランダ)などのプラチナ系である。 e. ❌ フッ化ピリミジン系の心毒性(虚血性心疾患)は、投与中の数日以内(特に初回コース中)に急激に発症することが多く、数年後の遅発性ではない。

【正解】 b


問題(第9/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 がん化学療法による薬剤性間質性肺疾患(ILD)に関する記述として、適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ブレオマイシン(ブレオ)によるILDは、高濃度酸素を投与することで進行を抑制できるため、手術前後の高濃度酸素吸入が推奨される。 b. ゲフィチニブ(イレッサ)などのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬によるILDは、喫煙歴がある患者や既存の肺線維症(間質性肺炎の合併)がある患者で発症リスクが高い。 c. 間質性肺疾患の発症はアレルギー反応の一種であるため、抗ヒスタミン薬の予防投与で完全に防ぐことができる。 d. ペメトレキセド(アリムタ)によるILDを予防するためには、事前の葉酸およびビタミンB12の投与を中止しなければならない。 e. 免疫チェックポイント阻害薬によるILDが疑われた場合、自己免疫機能の回復を待つためステロイドの投与は禁忌である。

【解答・解説】 a. ❌ ブレオマイシン(ブレオ)による肺毒性は、高濃度の酸素曝露によってフリーラジカルの産生が亢進し、著しく悪化・誘発される。したがって、ブレオマイシン投与歴のある患者への手術時などの高濃度酸素吸入は極力避ける必要がある。 b. ✅ 正しい。EGFR-TKI(ゲフィチニブやエルロチニブ等)によるILDの重大なリスク因子として、喫煙歴、既存の間質性肺炎の合併、PS(全身状態)の不良、男性などが挙げられており、これらの患者への投与は特に慎重なモニタリングが必要である。 c. ❌ 薬剤性ILDの機序は直接的な肺胞上皮・毛細血管内皮の障害や免疫学的機序(細胞性免疫)など複雑であり、抗ヒスタミン薬で予防できるものではない。 d. ❌ ペメトレキセド(アリムタ)の致死的な骨髄抑制や消化管毒性を防ぐため、事前の葉酸およびビタミンB12の投与は「必須」である。ILD予防のためにこれを中止することは誤りである。 e. ❌ 免疫チェックポイント阻害薬によるILD(免疫関連有害事象:irAEの一種)が疑われる(Grade 2以上)場合は、直ちに被疑薬を休薬し、全身性ステロイドによる早期かつ強力な免疫抑制治療を行うことが原則である。

【正解】 b


【用語解説】 ・LVEF (Left Ventricular Ejection Fraction): 左室駆出率。心臓のポンプ機能を評価する指標。 ・ILD (Interstitial Lung Disease): 間質性肺疾患。肺胞の壁(間質)に炎症や線維化が起こり、酸素の取り込みが阻害される致死的な副作用。 ・ROS (Reactive Oxygen Species): 活性酸素種。

【出典】 ・PMDA 添付文書および適正使用ガイド(トラスツズマブ、フルオロウラシル、ゲフィチニブ 最新版) ・日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法に伴う間質性肺疾患早期発見と対応の手引き」


問題(第10/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 シスプラチン(ランダ)投与時に生じる腎毒性を回避するための支持療法に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. シスプラチンは尿細管で結晶化して物理的閉塞を起こすため、炭酸水素ナトリウム(メイロン)を投与して尿をアルカリ化することが必須である。 b. 大量輸液(ハイドレーション)による尿量確保が重要であるが、その際、細胞内へのシスプラチン取り込みを促進させるためカルシウムを積極的に補充する。 c. シスプラチンの腎毒性を軽減するため、投与直前にアセトアミノフェン(カロナール)を予防内服させる。 d. シスプラチン投与による低マグネシウム血症は、尿細管へのシスプラチンの取り込みを亢進させて腎毒性を悪化させるため、生理食塩液等に硫酸マグネシウムを添加して予防的に補充する。 e. アクロレインによる出血性膀胱炎を予防するため、シスプラチン投与開始と同時にメスナ(ウロミテキサン)を静脈内投与する。

【解答・解説】 a. ❌ 尿中での結晶化を防ぐために「尿のアルカリ化」が必須となるのは、大量メトトレキサート(メソトレキセート)療法である。シスプラチンの腎毒性機序は結晶化ではなく、尿細管上皮細胞への直接的な取り込みとアポトーシス誘導である。 b. ❌ カルシウムの積極的補充が腎毒性回避の鍵ではない。 c. ❌ アセトアミノフェンにシスプラチンの腎保護作用はない(解熱鎮痛薬である)。 d. ✅ 正しい。シスプラチンは腎臓におけるマグネシウムの再吸収を阻害し、低マグネシウム血症を引き起こす。さらに、低マグネシウム状態では、有機カチオントランスポーター(OCT2)を介した尿細管へのシスプラチン取り込みが亢進し、腎毒性の悪循環を招く。そのため、ハイドレーション時のマグネシウム補充(通常、硫酸マグネシウム補正液を添加)は、腎毒性予防として極めて重要である(「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン」)。 e. ❌ 代謝物アクロレインによる出血性膀胱炎を予防するためにメスナ(ウロミテキサン)を併用するのは、シクロホスファミド(エンドキサン)やイホスファミド(イホマイド)である。

【正解】 d


問題(第11/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 悪性リンパ腫や骨肉腫に対する大量メトトレキサート(MTX)療法時の、腎毒性予防に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. MTXはアルカリ性環境下で非イオン型となり溶解度が低下するため、ビタミンCを大量投与して尿を酸性に保つ必要がある。 b. MTXは弱酸性薬物であり、尿中pHが低い(酸性)と非イオン型の割合が増加して尿細管内で結晶化しやすくなるため、重曹液等の輸液により尿pHを7.0以上にアルカリ化する。 c. MTXの腎排泄を促進するため、ロキソプロフェン(ロキソニン)などのNSAIDsを積極的に併用する。 d. MTXによる腎障害は、累積投与量に依存した不可逆的な糸球体硬化症であるため、生涯投与量の上限を厳守する。 e. デクスラゾキサン(サビーン)を併用することで、MTXによる尿細管壊死を完全に防ぐことができる。

【解答・解説】 a. ❌ MTXは弱酸性薬物であり、酸性環境下で非イオン型(溶解度低下)となる。尿を酸性にすることは、結晶析出リスクを極大化する禁忌行為である。 b. ✅ 正しい。MTXの尿中への結晶析出(物理的閉塞による急性腎障害)を防ぐためには、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に基づく物理化学的対応として、炭酸水素ナトリウム(重曹)やアセタゾラミド等を用いて尿をアルカリ化(尿pH 7.0以上)し、MTXを水溶性のイオン型に保つことが絶対条件である。 c. ❌ NSAIDs(ロキソプロフェン等)やペニシリン系抗菌薬は、腎臓の近位尿細管(OAT等)における排泄経路でMTXと競合し、MTXの血中濃度を致死的なレベルまで上昇させるため、大量MTX療法時は「併用禁忌(または厳重な回避)」である。 d. ❌ 大量MTX療法の腎障害は、主に尿細管内の結晶析出による急性閉塞性腎症であり、累積用量に依存する不可逆的な糸球体硬化(アントラサイクリンの心毒性のようなもの)ではない。 e. ❌ デクスラゾキサン(サビーン)はアントラサイクリン系の血管外漏出時の解毒薬であり、MTXには無効である。

【正解】 b


問題(第12/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 大量メトトレキサート(MTX)療法時に必須となる「ロイコボリン救援療法(レスキュー)」と「血中濃度モニタリング(TDM)」に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ロイコボリン(ホリナート)は、MTXの腎排泄を直接促進することで血中濃度を低下させる解毒薬である。 b. ロイコボリン救援療法は、MTXの血中濃度が安全域(例:0.1 μmol/L未満など、プロトコル所定の濃度)に低下したことを確認してから初めて投与を開始する。 c. ロイコボリン(ホリナート)は、MTXによって阻害されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の働きを迂回して、正常細胞に直接活性型葉酸を供給することで骨髄抑制や粘膜障害を防ぐ。 d. MTXの血中濃度測定(TDM)は、有効な抗腫瘍効果が得られているかを確認するためのものであり、毒性回避の目的ではない。 e. 患者が誤ってメトトレキサートを過量服薬した場合は、ロイコボリンではなく、直ちにメスナ(ウロミテキサン)を投与する。

【解答・解説】 a. ❌ ロイコボリン(ホリナート)はMTXの排泄を促進する薬ではなく、MTXの作用(葉酸代謝阻害)から正常細胞を保護する「活性型葉酸」である。 b. ❌ ロイコボリンの投与は、MTX投与終了後の一定時間(プロトコルによるが通常24時間後など)から開始し、MTX血中濃度が安全域に低下する「まで」継続するものである。低下してから始めるのではレスキューが間に合わず、致死的な毒性が発現する。 c. ✅ 正しい。MTXはDHFRを阻害して葉酸代謝を止めるが、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)はDHFRをバイパス(迂回)してテトラヒドロ葉酸の形で細胞内に取り込まれ、正常細胞の核酸合成を再開させる(レスキューする)ことで、致死的な骨髄抑制や粘膜障害を防ぐ。 d. ❌ 大量MTX療法におけるTDMの主目的は、「薬物の排泄遅延がないかを確認し、ロイコボリンの投与量と投与期間を決定する(致死的毒性の回避)」ことである。 e. ❌ MTXの過量投与時や排泄遅延時のレスキューにはロイコボリン(ホリナート)またはグルカルピダーゼ(未承認)を用いる。メスナ(ウロミテキサン)はシクロホスファミド等の出血性膀胱炎の解毒薬である。

【正解】 c


【用語解説】 ・MTX (Methotrexate): メトトレキサート。葉酸代謝拮抗薬。 ・TDM (Therapeutic Drug Monitoring): 薬物血中濃度モニタリング。治療域が狭い薬物の濃度を測定し、用量を個別化すること。 ・DHFR (Dihydrofolate Reductase): ジヒドロ葉酸還元酵素。

【出典】 ・日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン 2022」 ・PMDA 添付文書(シスプラチン、メトトレキサート、ホリナートカルシウム 最新版)


次回は、第13問〜第15問(末梢神経障害・出血性膀胱炎)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第13/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 大腸がんなどの治療に用いられるオキサリプラチン(エルプラット)による末梢神経障害に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 投与後数日以内に発現し、寒冷刺激(冷たいものに触れる、冷たい飲み物を飲むなど)によって誘発・増悪する急性症状と、累積投与量に依存して現れる慢性症状の2つのパターンがある。 b. 末梢神経障害は不可逆的な運動神経の麻痺を主徴とし、感覚神経(しびれ等)には影響を及ぼさない。 c. 末梢神経障害を予防するため、オキサリプラチン投与直後に手足を氷水で冷やす(冷罨法)ことが強く推奨されている。 d. 慢性的なしびれに対しては、ビタミンB12製剤の大量投与が第一選択薬としてガイドラインで推奨されている。 e. 末梢神経障害の発現頻度は低く、患者の日常生活動作(ADL)に影響を及ぼすことは稀であるため、特別な指導は必要ない。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。オキサリプラチン(エルプラット)の末梢神経障害は極めて特徴的であり、投与直後〜数日以内に現れる「冷感刺激で誘発される口周囲や手足の知覚異常(急性神経毒性)」と、コースを重ねるごとに蓄積する「手袋・靴下型の持続的なしびれ(慢性神経毒性)」の二面性を持つ。 b. ❌ オキサリプラチンの末梢神経障害は、主に「感覚神経(知覚神経)」の障害(しびれ、痛み、感覚鈍麻)であり、運動神経の完全な麻痺が主徴ではない。 c. ❌ 寒冷刺激によって急性神経毒性が誘発・増悪するため、手足を氷水で冷やすことは「絶対禁忌(厳重な回避事項)」である。患者には、冷たい飲み物を避ける、手袋をするなどの防寒対策を指導する。冷罨法が推奨されるのは、アントラサイクリン系の血管外漏出時などである。 d. ❌ ビタミンB12製剤は経験的に処方されることがあるが、オキサリプラチンによるCIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)の予防・治療としてガイドラインで明確に推奨されているわけではない。疼痛を伴う慢性症状にはデュロキセチン(サインバルタ)の投与が考慮される。 e. ❌ オキサリプラチンによる末梢神経障害はほぼ全例で発現し、ボタンが留められない、歩行困難になるなど、ADLを著しく低下させる重大な用量規制因子(DLT)である。

【正解】 a


問題(第14/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 微小管阻害薬による末梢神経障害(CIPN)の特徴として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. パクリタキセル(タキソール)による末梢神経障害は、投与後数時間以内に発症する急性の難聴(聴神経障害)が特徴である。 b. ビンクリスチン(オンコビン)などのビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬は、感覚神経障害だけでなく、腸管蠕動運動の低下による重度の便秘や麻痺性イレウス(自律神経障害)を引き起こすことがある。 c. タキサン系抗悪性腫瘍薬による末梢神経障害は、心筋に蓄積した活性酸素種が原因であるため、心電図モニタリングで予測可能である。 d. これらの薬剤による末梢神経障害を予防するため、投与前に副腎皮質ステロイドを大量投与することがガイドラインで推奨されている。 e. オキサリプラチン(エルプラット)と同様に、タキサン系抗悪性腫瘍薬の末梢神経障害も寒冷刺激によって急激に悪化する。

【解答・解説】 a. ❌ 聴神経障害(難聴、耳鳴り)を特徴とするのは、プラチナ系のシスプラチン(ランダ)である。パクリタキセル(タキソール)は手袋・靴下型の感覚神経障害(しびれ)を主とする。 b. ✅ 正しい。ビンクリスチン(オンコビン)などのビンカアルカロイド系は、微小管の重合を阻害することで軸索輸送を障害し、感覚神経障害だけでなく、自律神経障害(重度の便秘、麻痺性イレウス、排尿障害など)や運動神経障害を引き起こすことが特徴である。 c. ❌ タキサン系の末梢神経障害は、神経軸索における微小管の過剰安定化による軸索輸送障害が原因であり、心筋の活性酸素種(アントラサイクリン系の心毒性機序)とは無関係である。 d. ❌ タキサン系投与前にステロイドを投与するのは、溶剤(ポリオキシエチレンヒマシ油など)によるアナフィラキシーなどの「過敏症(Infusion reaction)」を予防するためであり、末梢神経障害の予防目的ではない。 e. ❌ 寒冷刺激で急激に悪化(誘発)するのはオキサリプラチン(エルプラット)特有の急性症状であり、タキサン系にはこの特徴はない。

【正解】 b


問題(第15/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 シクロホスファミド(エンドキサン)やイホスファミド(イホマイド)の投与時に発現する特異的な副作用と、その予防策に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 肝臓で代謝されて生成するアクロレインが膀胱粘膜を直接刺激して出血性膀胱炎を引き起こすため、解毒薬としてメスナ(ウロミテキサン)を併用する。 b. アクロレインが心筋細胞に蓄積して不可逆的な心不全を引き起こすため、累積投与量の上限を厳守する。 c. 出血性膀胱炎を予防するためには、尿をアルカリ化(pH 7.0以上)することが最も重要である。 d. 腎尿細管でのシスプラチン取り込みを競合的に阻害するため、マグネシウムの大量投与が必須である。 e. メスナ(ウロミテキサン)は、シクロホスファミドの抗腫瘍効果を相殺してしまうため、出血性膀胱炎が発症するまで投与してはならない。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。シクロホスファミドやイホスファミドはアルキル化剤であり、体内で代謝される過程で生じる「アクロレイン」が尿中に排泄され、膀胱粘膜を刺激して重篤な「出血性膀胱炎」を引き起こす。この予防のために、尿中でアクロレインと結合して無毒化するメスナ(ウロミテキサン)を併用し、十分な輸液で尿量を確保する。 b. ❌ アクロレインが引き起こすのは出血性膀胱炎である。不可逆的な心不全はアントラサイクリン系の特徴である。 c. ❌ 尿のアルカリ化が必要なのはメトトレキサート(メソトレキセート)の大量療法時である。シクロホスファミド等による出血性膀胱炎の予防は、メスナの投与と頻回な排尿(尿量確保)である。 d. ❌ マグネシウム補充が必要なのはシスプラチン(ランダ)の腎毒性予防である。 e. ❌ メスナ(ウロミテキサン)は血中には移行しにくく尿中に速やかに排泄されるため、腫瘍組織におけるアルキル化剤の抗腫瘍効果を妨げることなく、膀胱粘膜のみを特異的に保護する。予防的投与が原則である。

【正解】 a


【用語解説】 ・CIPN (Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy): 化学療法誘発性末梢神経障害。 ・冷罨法 (れいあんぽう): 氷水などで局所を冷やすこと。 ・アクロレイン (Acrolein): シクロホスファミドやイホスファミドの中間代謝産物。強力な粘膜刺激性を持つ。

【出典】 ・日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2023年版」 ・PMDA 添付文書(オキサリプラチン、ビンクリスチン、イホスファミド、メスナ 最新版)


次回は、第16問〜第18問(皮膚障害マネジメント、irAEの大腸炎)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第16/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 ゲフィチニブ(イレッサ)やパニツムマブ(ベクティビックス)などのEGFR(上皮成長因子受容体)阻害薬による皮膚障害に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. アレルギー反応による薬疹が主原因であるため、投与前に抗ヒスタミン薬を前投薬することで完全に予防できる。 b. 皮膚障害(ざ瘡様皮疹など)が発現した場合、速やかに皮膚を乾燥させることが重要であるため、保湿剤の使用は禁忌である。 c. EGFR阻害薬による皮膚障害(ざ瘡様皮疹、爪囲炎、皮膚乾燥など)を予防・軽減するため、抗がん剤治療開始と同時に保湿剤の使用や紫外線対策などの予防的スキンケアを開始することが強く推奨される。 d. ざ瘡様皮疹(ニキビ様皮疹)の主な原因はアクネ菌の増殖であるため、第一選択薬として抗真菌薬の外用が推奨される。 e. 手のひらや足の裏に特異的に生じる「手足症候群」を高頻度で引き起こすのが、EGFR阻害薬の最大の特徴である。

【解答・解説】 a. ❌ EGFR阻害薬による皮膚障害は、正常な表皮細胞や毛包に存在するEGFRを薬物が直接阻害することによる「オンターゲット毒性(必然的な毒性)」であり、アレルギー反応ではない。 b. ❌ EGFRが阻害されると皮膚のバリア機能が低下し極度の乾燥状態(乾皮症)となるため、「保湿」がスキンケアの基本中の基本である。乾燥させることは症状を悪化させる。 c. ✅ 正しい。日本臨床腫瘍学会の「がん薬物療法に伴う皮膚障害臨床病態プラクティカルガイド」において、EGFR阻害薬によるざ瘡様皮疹等の皮膚障害に対しては、発症前(治療開始時)からの予防的スキンケア(保湿、清潔の保持、紫外線対策)を行うことが基本とされている。 d. ❌ EGFR阻害薬によるざ瘡様皮疹は、通常のニキビ(尋常性痤瘡)と異なり細菌感染が主原因ではなく、無菌性の炎症である(二次感染を起こすことはある)。抗真菌薬は無効であり、症状に応じてステロイド外用薬(medium〜strong以上)やミノサイクリン等の内服を用いる。 e. ❌ 手のひらや足の裏に特異的に生じる「手足症候群(HFS)」を特徴とするのは、カペシタビン(ゼローダ)やマルチキナーゼ阻害薬(ソラフェニブ等)である。EGFR阻害薬の皮疹は顔面や体幹上部(脂漏部位)に好発する。

【正解】 c


問題(第17/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 カペシタビン(ゼローダ)やソラフェニブ(ネクサバール)の投与により生じる「手足症候群(Hand-Foot Syndrome: HFS)」のマネジメントに関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 皮膚の角質層が肥厚し、亀裂や痛みを伴うことが多いため、尿素軟膏やサリチル酸ワセリン軟膏を用いて角質を軟化させ、保湿を行うことが有効である。 b. 症状の悪化を防ぐため、熱いお湯での長時間の入浴や、手足への激しい摩擦(マッサージなど)を積極的に行うよう指導する。 c. 手足症候群の初期症状は爪の周囲の激しい炎症(爪囲炎)であり、カペシタビン特有の症状である。 d. 手足症候群は不可逆的な神経障害であるため、一度発症した場合は直ちに抗がん剤を永久中止しなければならない。 e. 発症時は、直ちに冷罨法(氷水で手足を冷やす)を行うことで症状を完全に消失させることができる。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。手足症候群(HFS)は、手掌や足底の紅斑、腫脹、知覚過敏から始まり、進行すると過角化(角質が厚く硬くなる)、亀裂、落屑、強い疼痛を伴う。予防・治療として、サリチル酸ワセリンや尿素配合軟膏による角質の軟化および十分な保湿が推奨される。 b. ❌ 熱(熱いお湯)や物理的刺激(摩擦、圧迫、長時間の歩行、激しい作業)は手足症候群の発症・増悪因子であるため、これらを「避ける」よう指導するのが正しい。 c. ❌ 爪囲炎(爪の周りの炎症)を特徴とするのは、EGFR阻害薬(ゲフィチニブ等)である。カペシタビン等の手足症候群は手掌・足底の荷重部位・摩擦部位に好発する。 d. ❌ 手足症候群は皮膚障害であり、神経障害(末梢神経障害)ではない。適切な休薬や減量、スキンケアによって回復可能な可逆的な症状である。 e. ❌ 冷罨法(血管外漏出の対応)は手足症候群の治療法ではない。

【正解】 a


問題(第18/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 免疫チェックポイント阻害薬(ICI:ニボルマブ等)による免疫関連有害事象(irAE)としての「大腸炎・重度下痢」のマネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ICIによる下痢は、腸内細菌叢の乱れが主原因であるため、整腸剤を投与して抗がん剤治療を継続する。 b. イリノテカン(カンプト)による下痢と同様のメカニズムであるため、半夏瀉心湯やロペラミド(ロペミン)の投与が第一選択となる。 c. Grade 2以上(ベースラインから1日4〜6回の排便回数増加など)のirAEによる大腸炎・下痢が疑われる場合、直ちにICIを休薬し、全身性ステロイド(プレドニゾロン換算1〜2mg/kg/日)の投与を考慮する。 d. ステロイドの投与はICIの抗腫瘍効果を完全に消失させるため、下痢がどれほど重篤であってもステロイドの使用は禁忌である。 e. ステロイド投与により症状が改善した場合、再燃を防ぐため翌日にはステロイドを直ちに中止する。

【解答・解説】 a. ❌ ICIによる大腸炎・下痢(irAE)は、自己免疫性の過剰な炎症反応(T細胞による腸管粘膜への攻撃)が原因であり、整腸剤では対応できない。放置すると腸管穿孔など致命的な状態に陥る。 b. ❌ イリノテカン(カンプト)による遅発性下痢は、活性代謝物(SN-38)による直接的な粘膜障害が原因であり、ロペラミド等が有効である。しかし、irAEの大腸炎に対して強力な止瀉薬(腸管蠕動抑制薬)を単独で使用すると、腸管内に炎症物質が滞留し中毒性巨大結腸症などを引き起こす危険があるため推奨されない。 c. ✅ 正しい。「がん免疫療法ガイドライン」において、Grade 2以上のirAEによる大腸炎・下痢に対しては、被疑薬の休薬と、自己免疫反応を抑えるための全身性ステロイド(中等量〜高用量)の早期介入が基本原則である。 d. ❌ irAE管理のためのステロイド投与がICIの抗腫瘍効果を完全に消失させるという明確なエビデンスはなく、致死的なirAEを回避するためのステロイド投与は躊躇すべきではない。 e. ❌ ステロイドを急に中止するとirAEが再燃(フレア)する危険性が高いため、症状改善後も4〜8週間かけて「慎重に漸減(テーパリング)」することが原則である。

【正解】 c


【用語解説】 ・EGFR (Epidermal Growth Factor Receptor): 上皮成長因子受容体。 ・HFS (Hand-Foot Syndrome): 手足症候群。フッ化ピリミジン系やマルチキナーゼ阻害薬に特有の皮膚毒性。 ・irAE (immune-related Adverse Events): 免疫関連有害事象。免疫チェックポイント阻害薬により自己に対する免疫寛容が破綻して生じる、自己免疫疾患様の副作用。 ・テーパリング (Tapering): 薬の投与量を徐々に減らしていくこと。

【出典】 ・日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法に伴う皮膚障害臨床病態プラクティカルガイド 2023年版」 ・日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン 第3版」(2023年)


次回は、第19問〜第21問(irAEの多様性:1型糖尿病、甲状腺機能障害、致死的irAE)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第19/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与により発症する免疫関連有害事象(irAE)のうち、「劇症1型糖尿病」に関する記述として正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ICI投与直後の数日以内にのみ発症し、投与後数ヶ月経過してから発症することはない。 b. 発症初期に著明な低血糖症状(冷や汗、動悸など)を呈し、その後高血糖に移行することが特徴である。 c. 膵臓のβ細胞が自己免疫的機序により急激に破壊される不可逆的な障害であり、直ちにインスリン療法を開始する必要がある。 d. 他のirAE(間質性肺疾患や大腸炎)と同様に、ステロイドの大量投与により膵臓β細胞の機能が回復する。 e. 口渇、多飲、多尿などの高血糖症状が現れた場合、まずは経口血糖降下薬(DPP-4阻害薬など)を投与して経過を観察する。

【解答・解説】 a. ❌ irAE全般に言えることだが、劇症1型糖尿病も投与開始直後から投与終了後数ヶ月以上経過してからも発症する可能性があり、発症時期は予測不可能である。 b. ❌ 発症初期からインスリン枯渇による急激な「高血糖(それに伴う口渇、多飲、多尿、体重減少)」と、進行すると「ケトアシドーシス(意識障害等)」を呈するのが特徴である。低血糖から始まるわけではない。 c. ✅ 正しい。ICIによる劇症1型糖尿病は、T細胞が膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)を急激に破壊することで生じる。自己インスリン分泌(血中Cペプチド)は枯渇し「不可逆的」な障害となるため、直ちにICIを休薬し、生涯にわたるインスリン療法(生理的インスリン補充)を開始することが必須である。 d. ❌ 破壊された膵β細胞はステロイドを投与しても回復しないため、劇症1型糖尿病に対するステロイド療法は推奨されない(むしろ血糖コントロールを悪化させる)。 e. ❌ インスリンが絶対的に枯渇している状態(1型糖尿病)であるため、経口血糖降下薬は無効であり、インスリンの絶対的適応である。

【正解】 c


問題(第20/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によるirAEとしての「甲状腺機能障害」の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 初期に甲状腺組織が破壊されてホルモンが血中に漏れ出し「甲状腺機能亢進症(破壊性甲状腺炎)」の症状を呈し、その後ホルモンが枯渇して「甲状腺機能低下症」へ移行する二相性の経過をたどることが多い。 b. 甲状腺機能亢進症の時期には、抗甲状腺薬(チアマゾール等)の投与が第一選択となる。 c. 甲状腺機能低下症へ移行した後も、休薬すれば数週間で甲状腺機能は完全に自然回復する。 d. 甲状腺機能障害はirAEの中で最も致死率が高く、発見次第直ちにステロイドパルス療法を行う必要がある。 e. 発症を予防するため、ICI投与開始前からレボチロキシン(チラージンS)を予防内服させることがガイドラインで推奨されている。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。ICIによる甲状腺機能障害は、多くの場合、まずT細胞の攻撃により甲状腺濾胞が破壊され、蓄積されていた甲状腺ホルモンが血中に一過性に流出する「破壊性甲状腺炎(甲状腺中毒症/機能亢進症:動悸、発汗、体重減少など)」を生じる。その後、ホルモンの蓄積が枯渇すると「甲状腺機能低下症(倦怠感、浮腫、寒がりなど)」に移行する、特徴的な二相性の経過をたどる。 b. ❌ 破壊性甲状腺炎による機能亢進は、甲状腺ホルモンの「産生過剰」ではなく「漏出」であるため、ホルモン合成を阻害する抗甲状腺薬(チアマゾール等)は無効であり、推奨されない(動悸等の症状にはβ遮断薬などで対症療法を行う)。 c. ❌ 甲状腺が破壊されて低下症に移行した場合、多くは不可逆的であり、永続的な甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシン投与)が必要となる。 d. ❌ 甲状腺機能障害自体は発見と対処(補充療法)が適切であれば致死的となることは稀であり、通常ステロイドの適応とはならない(他のirAE合併がない場合)。致死率が極めて高いのは心筋炎などである。 e. ❌ ホルモン補充薬であるレボチロキシンを予防的に内服することは行われない。

【正解】 a


問題(第21/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によるirAEの中で、発症頻度は比較的低いものの、急激に進行し致死率が極めて高い「致死的irAE」の組み合わせとして、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 白斑 と 脱毛症 b. 心筋炎 と 重症筋無力症 c. ざ瘡様皮疹 と 爪囲炎 d. 手足症候群 と 出血性膀胱炎 e. 骨髄抑制 と 発熱性好中球減少症

【解答・解説】 a. ❌ 白斑(皮膚の色素が抜ける)や脱毛はirAEとして報告されているが、通常致死的ではない。 b. ✅ 正しい。ICIによる「心筋炎」および「重症筋無力症(それに伴う呼吸筋麻痺)」、さらにこれらに筋炎が合併するケース(オーバーラップ症候群とも呼ばれる)は、発症頻度は1%未満と低いものの、発症すると急速に進行し致死率が非常に高い(心停止や呼吸不全を来す)ため、「致死的irAE」として最も警戒すべき病態である。クレアチンキナーゼ(CK/CPK)の上昇や心電図異常、眼瞼下垂などの初期症状を見逃さないことが極めて重要である。 c. ❌ ざ瘡様皮疹や爪囲炎はEGFR阻害薬のオンターゲット毒性であり、致死的irAEではない。 d. ❌ 手足症候群はフッ化ピリミジン系等の毒性、出血性膀胱炎はシクロホスファミド等の毒性である。 e. ❌ 骨髄抑制およびFNは細胞障害性抗がん剤の重大な副作用であるが、irAE(自己免疫機序)としての分類ではない。

【正解】 b


【用語解説】 ・劇症1型糖尿病: 膵臓のβ細胞が自己免疫機序で急激に破壊され、インスリンが絶対的に枯渇する疾患。 ・甲状腺中毒症 (破壊性甲状腺炎): 甲状腺濾胞の破壊により、血中に甲状腺ホルモンが一過性に大量に漏出する状態。 ・ステロイドパルス療法: メチルプレドニゾロンなどを短期間に超大量点滴静注し、強力な免疫抑制をかける治療法。重症のirAE(心筋炎など)で行われることがある。

【出典】 ・日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン 第3版」(2023年) ・PMDA 添付文書および適正使用ガイド(ニボルマブ等 最新版)


次回は、第22問〜第24問(腫瘍崩壊症候群、HBV再活性化、血管外漏出マネジメント)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第22/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 造血器腫瘍などの化学療法導入時に発症リスクが高い「腫瘍崩壊症候群(Tumor Lysis Syndrome: TLS)」の予防に用いられる尿酸低下薬に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. アロプリノール(ザイロリック)は、尿酸を水溶性の高いアラントインに分解することで血中尿酸値を急速に低下させる。 b. ラスブリカーゼ(ラスリテック)は、すでに血中に存在する尿酸を分解する作用はないため、化学療法開始の数日前から予防投与を完了させておく必要がある。 c. TLSの低リスク患者に対しては、強力な尿酸分解作用を持つラスブリカーゼ(ラスリテック)を第一選択として予防投与する。 d. ラスブリカーゼ(ラスリテック)は尿酸オキシダーゼ(酵素製剤)であり、すでに産生された尿酸を水溶性が高く尿中へ排泄されやすいアラントインに直接分解するため、高リスク患者に対する予防・治療に推奨される。 e. アロプリノール(ザイロリック)を使用する場合、尿を酸性化して尿酸の溶解度を高めることが必須である。

【解答・解説】 a. ❌ アロプリノール(ザイロリック)の作用機序は、キサンチンオキシダーゼを阻害し「尿酸の産生を抑える」ことである。尿酸をアラントインに分解する作用はない。 b. ❌ ラスブリカーゼ(ラスリテック)は尿酸分解酵素であり、「すでに血中に存在する尿酸」を直接分解できるため、急速な血中尿酸値の低下が可能である。 c. ❌ TLSの「低〜中リスク」患者の予防には、主に補液とアロプリノール(ザイロリック)(またはフェブキソスタット)が用いられる。ラスブリカーゼ(ラスリテック)は非常に高価でありアナフィラキシーリスクもあるため、TLSの発症リスクが「高い」患者、またはすでに高尿酸血症を呈している患者の予防・治療に限定して推奨される。 d. ✅ 正しい。ラスブリカーゼ(ラスリテック)は遺伝子組換え尿酸オキシダーゼ製剤であり、難溶性の尿酸を極めて水溶性の高いアラントインに直接分解する。そのため、すでに血中尿酸値が上昇している場合や、腫瘍量が大きく急速な崩壊が予想される高リスク患者に対して、速やかな効果を発揮する。 e. ❌ 尿酸は酸性環境下で非イオン型となり溶解度が低下して結晶化する。そのため、アロプリノール等を用いる場合でも、TLS管理においては十分な補液とともに尿を「アルカリ化(または中性)」に保つことが望ましい(ただし、ラスブリカーゼ使用時はアラントインが十分に水溶性であるため尿のアルカリ化は必須ではない)。

【正解】 d


問題(第23/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化対策に関する記述として、ガイドライン上適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. HBV再活性化のリスクがあるのは、HBs抗原が陽性(現在感染中)の患者のみであり、HBs抗原が陰性の患者では対策は不要である。 b. リツキシマブ(リツキサン)などの抗CD20抗体を投与する場合、HBs抗原が陰性であっても、HBc抗体またはHBs抗体が陽性(既往感染)であれば、定期的なHBV DNAの定量モニタリングが必要である。 c. HBV既往感染(HBs抗原陰性、HBc抗体陽性)の患者に免疫抑制を伴う化学療法を行う場合、HBV DNAの定量モニタリングは不要であり、直ちにエンテカビル(バラクルード)などの核酸アナログ製剤を予防内服させる。 d. 定期的なモニタリングでHBV DNAが検出された場合でも、ASTやALTなどの肝逸脱酵素が上昇するまでは核酸アナログ製剤の投与を待機する。 e. 免疫チェックポイント阻害薬は免疫を活性化させる薬剤であるため、HBV再活性化のリスクは全くなく、スクリーニング検査の対象外である。

【解答・解説】 a. ❌ HBs抗原が陰性であっても、HBc抗体またはHBs抗体が陽性の場合(既往感染)、肝細胞内の核にHBVのcccDNAが潜伏しており、強力な免疫抑制によって再増殖(再活性化)するリスクがある(de novo B型肝炎)。 b. ✅ 正しい。「B型肝炎ウイルスの再活性化対策ガイドライン」において、リツキシマブなどの強力な免疫抑制を伴う薬剤を使用する場合、HBs抗原陰性かつHBc/HBs抗体陽性の既往感染患者に対し、治療中および治療終了後少なくとも1年間は、1〜3ヶ月ごとにHBV DNAを定量モニタリングすることが強く推奨されている。 c. ❌ 既往感染患者への核酸アナログ製剤(エンテカビル等)の「全例予防投与」は推奨されておらず、原則として「定期的なHBV DNAモニタリング」を行い、ウイルスが検出された時点で直ちに投与を開始する(先制治療:Pre-emptive therapy)。(※ただし、造血幹細胞移植など極めてハイリスクな場合は予防投与が考慮されることもある)。 d. ❌ 肝機能障害(AST/ALT上昇)が現れるのを待ってから治療を開始すると、劇症肝炎に進行し致死的となる可能性が高い。HBV DNAが「検出された(陽性化した)時点」で、肝機能が正常であっても直ちに核酸アナログ製剤を投与しなければならない。 e. ❌ 免疫チェックポイント阻害薬投与時にもHBV再活性化の報告があり、またirAEとしての肝障害との鑑別が必要なため、投与前のスクリーニング(HBs抗原、HBc/HBs抗体の測定)は必須である。

【正解】 b


問題(第24/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 抗悪性腫瘍薬の血管外漏出時の初期対応として、薬剤と処置の組み合わせのうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ドキソルビシン(アドリアシン) — 温罨法(温める) b. パクリタキセル(タキソール) — 温罨法(温める) c. ビンクリスチン(オンコビン) — 温罨法(温める) d. オキサリプラチン(エルプラット) — 冷罨法(冷やす) e. エピルビシン(ファルモルビシン) — 温罨法(温める)

【解答・解説】 a. ❌ ドキソルビシン(アントラサイクリン系)は強力な壊死性薬剤であり、漏出時は血管を収縮させて周囲組織への拡散を防ぐため「冷罨法(冷やす)」が原則である。さらに特異的解毒薬としてデクスラゾキサン(サビーン)を静注する。 b. ❌ パクリタキセル(タキサン系)の漏出時も、基本的には拡散を防ぎ炎症を抑えるため「冷罨法」が推奨される。 c. ✅ 正しい。ビンクリスチンやビンデシンなどの「ビンカアルカロイド系」は壊死性薬剤であるが、例外的に「温罨法(温める)」が推奨される。温めることで血管を拡張させ、局所の血流を増やして薬剤を洗い流し、組織での滞留を防ぐためである(冷やすと皮膚障害が著しく悪化する)。 d. ❌ オキサリプラチンは末梢神経障害(急性神経毒性)が寒冷刺激で悪化するため、漏出時であっても冷罨法は避け、「温罨法」を行うのが一般的である(ビンカアルカロイドと同様の対応)。 e. ❌ エピルビシンもアントラサイクリン系であるため、「冷罨法」が正しい。

【正解】 c


【用語解説】 ・TLS (Tumor Lysis Syndrome): 腫瘍崩壊症候群。がん細胞が急速に破壊されることで、細胞内のカリウム、リン、尿酸が血中に大量に放出され、致死的な不整脈や急性腎障害を引き起こす病態。 ・HBV (Hepatitis B Virus): B型肝炎ウイルス。 ・de novo B型肝炎: HBVの既往感染(HBs抗原陰性、HBc/HBs抗体陽性)の状態から、免疫抑制に伴いウイルスが再活性化して発症する肝炎。劇症化しやすく致死率が高い。 ・冷罨法 / 温罨法: 患部を冷やす / 温める 処置。

【出典】 ・日本肝臓学会「B型肝炎ウイルスの再活性化対策ガイドライン」 ・日本がん看護学会「抗がん薬曝露対策ガイドライン(血管外漏出への対応含む)」 ・PMDA 添付文書(ラスブリカーゼ 最新版)


次回は、第25問〜第27問(特異的毒性:ペメトレキセド、ベバシズマブ等)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第25/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 非小細胞肺がんや悪性胸膜中皮腫の治療に用いられる葉酸代謝拮抗薬ペメトレキセド(アリムタ)の副作用マネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 葉酸やビタミンB12が過剰になるとペメトレキセドの骨髄抑制が増強されるため、投与中はこれらのビタミンを含むサプリメントの摂取を厳格に禁止する。 b. ペメトレキセドによる致死的な骨髄抑制や消化管毒性を軽減するため、初回投与の少なくとも1週間前から葉酸およびビタミンB12の投与を開始し、治療期間中継続することが必須である。 c. ペメトレキセドは腎臓の糸球体でろ過された後、尿細管で再吸収されるため、ロキソプロフェン(ロキソニン)などのNSAIDsを併用して再吸収を阻害し、排泄を促進する。 d. 副作用として高頻度に間質性肺疾患を引き起こすため、投与前後にステロイドの大量点滴静注を行うことが義務付けられている。 e. アントラサイクリン系と同様に累積投与量に依存した不可逆的な心毒性を持つため、生涯投与量の上限が設定されている。

【解答・解説】 a. ❌ 葉酸やビタミンB12が不足した状態でペメトレキセドを投与すると、正常細胞への毒性(骨髄抑制、消化管毒性)が致死的なレベルで発現する。これらを禁止するのではなく、積極的に補充しなければならない。 b. ✅ 正しい。ペメトレキセド(アリムタ)の安全な投与には、患者のホモシステイン等の葉酸代謝産物濃度を下げておくことが不可欠である。そのため、添付文書およびガイドラインにおいて「ペメトレキセドの初回投与の少なくとも1週間前から葉酸(パンビタン末など)の連日経口投与と、ビタミンB12(シアノコバラミン)の筋肉内注射を開始し、治療期間中および最終投与後も一定期間継続すること」が絶対条件とされている。 c. ❌ ペメトレキセドは主に腎臓の「近位尿細管からの分泌(OAT等を介する)」によって排泄される。NSAIDs(ロキソプロフェン等)を併用すると、この排泄経路で競合しペメトレキセドの血中濃度が上昇して重篤な副作用を引き起こすため、併用には細心の注意(半減期の短いNSAIDsは投与前後数日間の休薬など)が必要である。 d. ❌ 間質性肺疾患の発現リスクはあるが、ステロイドのルーチンな大量前投薬が義務付けられているわけではない(タキサン系の過敏症予防等とは異なる)。 e. ❌ ペメトレキセドに不可逆的な心毒性や厳格な生涯投与量の上限は設定されていない。

【正解】 b


問題(第26/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 抗VEGF抗体であるベバシズマブ(アバスチン)の副作用およびそのマネジメントに関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 正常組織の血管新生も阻害するため、高血圧、蛋白尿、血栓塞栓症、消化管穿孔、創傷治癒遅延などの特有の副作用を引き起こす。 b. 強力な骨髄抑制作用を持つため、単独投与時でもG-CSF製剤の予防的投与が必須である。 c. ベバシズマブによる高血圧に対しては、カルシウム拮抗薬は禁忌であり、第一選択薬として必ずβ遮断薬を使用する。 d. 創傷治癒遅延を防ぐため、外科的手術を行う場合は、術前3日前にベバシズマブを休薬し、術後翌日から直ちに再開する。 e. 心筋に特異的に結合して可逆的な心機能低下(LVEF低下)を引き起こすため、投与中は定期的な心エコー検査が必須である。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。ベバシズマブ(アバスチン)は血管内皮増殖因子(VEGF)を中和することでがんの血管新生を阻害するが、同時に正常な血管の内皮細胞の維持・修復も阻害する(オンターゲット毒性)。そのため、高血圧、蛋白尿、血栓塞栓症(動脈・静脈)、出血、消化管穿孔、創傷治癒遅延といった特徴的な副作用群(クラスエフェクト)を引き起こす。 b. ❌ ベバシズマブ自体には骨髄抑制作用はほとんどない。 c. ❌ ベバシズマブによる高血圧に対してカルシウム拮抗薬(アムロジピン等)は禁忌ではなく、実臨床において第一選択薬の1つとして頻用される(ACE阻害薬やARBも推奨される)。 d. ❌ ベバシズマブの半減期は約20日と非常に長く、創傷治癒遅延や出血リスクが高まるため、大きな外科的手術の前後には長期間の休薬が必要である(通常、術前は少なくとも4〜6週間前(半減期の約1.5〜2倍)から休薬し、術後は創傷治癒が完全に確認された後(通常28日以降)に再開する)。 e. ❌ 可逆的な心機能低下(LVEF低下)を特徴とするのは、抗HER2抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン)である。

【正解】 a


問題(第27/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 乳がん治療に用いられるCDK4/6阻害薬アベマシクリブ(ベージニオ)の副作用とその対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 投与開始数ヶ月後から徐々に発現する重度の中枢神経障害が特徴であるため、自動車の運転を厳しく制限する。 b. 高頻度で下痢(多くは投与開始1週間以内)を引き起こすため、投与開始時にあらかじめロペラミド(ロペミン)などの止瀉薬を処方し、下痢発現時の早めの頓服を指導する。 c. 心電図上のQT間隔延長が高頻度で現れるため、食事の影響を避けて必ず「食間(空腹時)」に内服するよう指導する。 d. 骨髄における好中球の分化を完全に停止させるため、全例でペグフィルグラスチム(ジーラスタ)の予防投与を行う。 e. 致命的な静脈血栓塞栓症(VTE)を完全に予防するため、ワルファリン(ワーファリン)の併用が義務付けられている。

【解答・解説】 a. ❌ アベマシクリブに特有の重度の中枢神経障害(遅発性)という特徴はない。 b. ✅ 正しい。アベマシクリブ(ベージニオ)は、非常に高頻度(約80%以上)で「下痢」を引き起こす。発現時期が「投与開始後数日〜1週間以内」と早いため、初回処方時にロペラミド等の止瀉薬をあらかじめ処方し、軟便・下痢の兆候があれば我慢せずに早期から服用するよう患者教育を行うことが極めて重要である。 c. ❌ QT延長に注意が必要で空腹時投与が厳守されるのは、ニロチニブ(タシグナ)等の特定のTKIである。アベマシクリブは食事の影響を大きく受けない。 d. ❌ CDK4/6阻害薬(アベマシクリブ、パルボシクリブ等)は好中球減少を引き起こすが、細胞障害性抗がん剤による好中球減少と異なり、細胞のアポトーシスではなく細胞周期の一時的な停止(G1期停止)によるものであるため、休薬により速やかに回復する。全例へのG-CSF製剤の予防投与は推奨されない。 e. ❌ アベマシクリブは静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを上昇させるため注意が必要であるが、ワルファリンの全例予防投与が義務付けられているわけではない。

【正解】 b


【用語解説】 ・VEGF (Vascular Endothelial Growth Factor): 血管内皮増殖因子。腫瘍が栄養を取り込むための新しい血管(血管新生)を作るシグナル。 ・VTE (Venous Thromboembolism): 静脈血栓塞栓症。深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)の総称。 ・CDK4/6 (Cyclin-Dependent Kinase 4/6): サイクリン依存性キナーゼ4/6。細胞周期のG1期からS期への進行を促進する酵素。

【出典】 ・PMDA 添付文書および適正使用ガイド(ペメトレキセド、ベバシズマブ、アベマシクリブ 最新版)


次回は、第28問〜第30問(薬理遺伝学・PGx:UGT1A1、DPD、NUDT15)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第28/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 大腸がんなどの治療に用いられるイリノテカン(カンプト)の代謝と薬理遺伝学(PGx)に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. イリノテカンは体内で活性代謝物(SN-38)となり抗腫瘍効果を発揮した後、主に腎臓のOAT(有機アニオントランスポーター)を介して未変化体のまま尿中に排泄される。 b. 活性代謝物(SN-38)は、肝臓のUGT1A1(UDP-グルクロン酸転移酵素)によってグルクロン酸抱合を受け、無毒化されて胆汁中に排泄される。 c. UGT1A1の遺伝子多型(28、6などのホモ接合体または複合ヘテロ接合体)を持つ患者では、酵素活性が異常に亢進しているため、イリノテカンの効果が得られない。 d. UGT1A1遺伝子多型を持つ患者に対してイリノテカンを投与する場合は、毒性を防ぐため、必ずアプレピタント(イメンド)を併用してCYP3A4を阻害する。 e. イリノテカンによる遅発性下痢は、腸管内のアルカリ性環境下でイリノテカンが直接結晶化して腸管壁を物理的に傷つけることによる。

【解答・解説】 a. ❌ イリノテカンの主排泄経路は腎排泄ではなく、肝臓で代謝・抱合された後、胆汁中へ排泄される経路である。 b. ✅ 正しい。イリノテカンはカルボキシルエステラーゼによって活性代謝物SN-38となり、その後、肝臓のUGT1A1(UDP-グルクロン酸転移酵素)によってグルクロン酸抱合体(SN-38G:無毒化)となり、胆汁中へ排泄される。 c. ❌ UGT1A1の特定の遺伝子多型(28、6のホモ接合体、または28/6の複合ヘテロ接合体など)を持つ患者では、酵素活性が「著しく低下(または欠損)」している。その結果、SN-38の無毒化が遅延して体内に異常蓄積し、致死的な骨髄抑制や重篤な下痢を引き起こす。 d. ❌ UGT1A1多型による毒性を防ぐためのアプローチは、イリノテカンの「初回投与量の減量(例:通常の減量規定に従う)」である。アプレピタント(CYP3A4阻害薬)を併用してもUGT1A1の代謝は助けられない。 e. ❌ イリノテカンによる遅発性下痢の主な機序は、胆汁排泄されたSN-38Gが腸内細菌(β-グルクロニダーゼ)によって脱抱合され、再び毒性を持つ「SN-38」に戻り、腸管粘膜を直接傷害するためである。

【正解】 b


問題(第29/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬(フルオロウラシル、カペシタビン等)の代謝と関連する酵素に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 投与されたフルオロウラシル(5-FU)の大部分(約80%以上)は、肝臓のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)によって速やかに不活性化(分解)される。 b. DPDの酵素活性が生まれつき欠損している患者では、フルオロウラシルが体内で速やかに分解されすぎるため、十分な抗腫瘍効果が得られない。 c. フッ化ピリミジン系抗がん剤と抗ウイルス薬ソリブジンを併用すると、ソリブジンがDPDの活性を強力に誘導(活性化)するため、抗がん剤の血中濃度が著しく低下する。 d. DPDは腎臓にのみ局在する酵素であるため、腎機能(Ccr)に基づいてフルオロウラシルの投与量を厳密に計算(Calvert式)する必要がある。 e. フッ化ピリミジン系抗がん剤同士(例:S-1とカペシタビン)を併用すると、DPD活性が相加的に上昇するため安全性が高まる。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。フルオロウラシル(5-FU)の生体内における主たる運命は代謝(分解)であり、投与量の約80〜90%が肝臓等に存在するDPD(ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ)によって速やかに不活性化(分解)される。 b. ❌ DPDが欠損している患者(PGx)にフルオロウラシル系を投与すると、薬物が分解されずに体内に異常蓄積し、致死的な骨髄抑制や消化管毒性、神経毒性を引き起こす。 c. ❌ 抗ウイルス薬ソリブジン(現在は市場撤退)は、体内で代謝されてDPDを「不可逆的に強力に阻害」する。その結果、併用されたフッ化ピリミジン系薬剤の血中濃度が致死域まで上昇し、多数の死亡例を出した歴史的にも極めて重要な相互作用(併用禁忌)の例である。 d. ❌ DPDは主に肝臓等に存在し、フルオロウラシルは主に肝代謝型である(腎機能に基づくCalvert式はカルボプラチンの用量設定に用いる)。 e. ❌ フッ化ピリミジン系同士の併用は、代謝酵素(DPD等)の競合阻害(例:S-1に含まれるギメラシルはDPD阻害剤である)を起こし、血中濃度を致死的なレベルまで上昇させるため「絶対的併用禁忌」である。

【正解】 a


問題(第30/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 急性リンパ性白血病(ALL)や炎症性腸疾患の治療に用いられるチオプリン製剤(メルカプトプリン、アザチオプリン等)の代謝と、NUDT15遺伝子多型に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. アジア人に多いNUDT15遺伝子多型を持つ患者では、チオプリン製剤の活性代謝物(チオグアニンヌクレオチド:TGN)が過剰にDNAに組み込まれるのを防ぐブレーキ機能が働かないため、早期に重度の白血球減少や脱毛を引き起こす。 b. NUDT15遺伝子は、メルカプトプリンを不活性化する肝臓のCYP3A4のサブタイプであり、この多型があると薬物が全く代謝されなくなる。 c. NUDT15遺伝子多型のホモ接合体(リスクアレルを2つ持つ)患者に対しては、通常の2倍量からチオプリン製剤の投与を開始することが推奨される。 d. メルカプトプリン(ロイケリン)と痛風治療薬アロプリノール(ザイロリック)を併用する場合、NUDT15の活性が相乗的に高まるため、メルカプトプリンの増量が必要である。 e. NUDT15遺伝子多型の検査は、重篤な副作用発現後に行い、その後の治療方針を決定するために用いられるものであり、投与前の検査は推奨されていない。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。チオプリン製剤(メルカプトプリン等)は体内で活性型チオグアニンヌクレオチド(TGN)となり、DNAに取り込まれて細胞障害性を示す。NUDT15(ヌクレオチド二リン酸加水分解酵素)は、このTGNを分解しDNAへの過剰な取り込みを防ぐ「ブレーキ」の役割を果たす。アジア人に多いNUDT15多型(酵素活性低下・欠損)を持つ患者では、このブレーキが効かず、重篤な骨髄抑制(白血球減少)や全身脱毛が極めて高頻度で発生する。 b. ❌ NUDT15はCYPのサブタイプではなく、ヌクレオチド加水分解酵素である。メルカプトプリンの不活性化経路の1つにはキサンチンオキシダーゼ(XO)やチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)がある。 c. ❌ リスクアレルをホモで持つ患者では、著しい酵素活性低下があるため、致死的毒性を防ぐために「投与回避」または「極度の減量」が必須である。 d. ❌ アロプリノール(ザイロリック)はキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬であり、メルカプトプリンの不活性化(分解)を阻害する。そのため、併用するとメルカプトプリンの血中濃度が著しく上昇するため、メルカプトプリンの投与量を通常の1/3〜1/4に減量する必要がある(NUDT15の活性とは別の重要なDDI)。 e. ❌ NUDT15遺伝子多型による重篤な副作用(致死的骨髄抑制)を防ぐため、チオプリン製剤の「投与前」にNUDT15遺伝子多型検査を行うことがガイドラインおよび添付文書で強く推奨(または必須)とされている。

【正解】 a


【用語解説】 ・UGT1A1 (UDP-Glucuronosyltransferase 1A1): イリノテカンの活性代謝物(SN-38)を無毒化(グルクロン酸抱合)する酵素。 ・DPD (Dihydropyrimidine Dehydrogenase): フルオロウラシルを分解・不活性化する主要酵素。 ・NUDT15 (Nudix Hydrolase 15): チオプリン製剤の活性代謝物を分解し、DNAへの過剰取り込みを防ぐ酵素。日本人に多型が多い。 ・PGx (Pharmacogenomics): 薬理ゲノム学。遺伝子の違いによる薬効や副作用の個人差を研究・応用する分野。

【出典】 ・PMDA 添付文書および適正使用情報(イリノテカン、フルオロウラシル、メルカプトプリン 最新版)


次回は、第31問〜第33問(薬物動態・DDI:Calvert式、TKIと制酸薬)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第31/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 カルボプラチン(パラプラチン)の投与量設計に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 投与量は体表面積(BSA:m²)のみに基づいて決定されるため、患者の腎機能を評価する必要はない。 b. 投与量の算出には「Calvert(カルバート)式」が用いられ、目標AUC(血中濃度時間曲線下面積)と患者の糸球体ろ過量(GFR)に基づいて個別に計算される。 c. Calvert式における「+25」の定数は、カルボプラチンの肝臓における代謝クリアランスを表しているため、肝機能低下患者ではこの数値を変更する。 d. 高齢者などで筋肉量が著しく低下している患者において、血清クレアチニン値を用いたCockcroft-Gault式でGFRを推算すると、実際の腎機能よりも悪く(低く)見積もられる危険性がある。 e. Calvert式においてGFRの代わりに実測クレアチニンクリアランス(Ccr)を用いることは、どのような状況下でも禁忌とされている。

【解答・解説】 a. ❌ カルボプラチンは「腎排泄型」の薬剤であり、血中濃度(AUC)が腎機能(GFR)に強く依存するため、体表面積(BSA)ではなく、GFRに基づいた個別化投与設計が必須である。 b. ✅ 正しい。カルボプラチンの投与量は、全身への薬物曝露量を示す目標AUCと、患者のGFRを用いて、「投与量(mg) = 目標AUC × (GFR + 25)」というCalvert式を用いて計算される。 c. ❌ Calvert式の「+25」は、カルボプラチンの「非腎クリアランス(主に組織への結合など)」を表す定数である。カルボプラチンは肝臓でほとんど代謝されないため、肝クリアランスの数値ではない。 d. ❌ 筋肉量が低下している患者(るい痩の激しい高齢のがん患者など)では、筋肉からのクレアチニン産生が減少するため、血清クレアチニン値が低く(正常に見えるように)出る。これをCockcroft-Gault式にそのまま当てはめると、GFRを「過大評価(実際の腎機能よりも高く見積もる)」してしまい、結果として過量投与となり致死的な骨髄抑制を引き起こす危険性がある。 e. ❌ Calvert式では本来GFR(イヌリンクリアランス等)を用いるが、実臨床ではCockcroft-Gault式等で推算したCcrをGFRの代用として用いることが一般的(承認範囲内)である。

【正解】 b


問題(第32/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の吸収における消化管内pHの影響と、制酸薬との薬物相互作用(DDI)に関する記述として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. ゲフィチニブ(イレッサ)やエルロチニブ(タルセバ)などのTKIは弱塩基性の薬物であり、胃内の酸性環境下ではイオン化せず沈殿するため、制酸薬を併用して溶解度を高める必要がある。 b. プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)の併用により胃内pHが上昇(アルカリ化)すると、ダサチニブ(スプリセル)などの溶解度が著しく低下し、腸管からの吸収が低下して抗腫瘍効果が減弱する恐れがある。 c. TKIと制酸薬を併用せざるを得ない場合、相互作用を完全に回避するためには、制酸薬投与の直前(30分以内)にTKIを服用することが推奨される。 d. 制酸薬による胃内pHの上昇は、TKIの肝臓におけるCYP3A4代謝を直接的に誘導するため、血中濃度が低下する。 e. すべてのTKIにおいて制酸薬の影響は一律であり、薬剤ごとの個別の確認は不要である。

【解答・解説】 a. ❌ ゲフィチニブ等は「弱塩基性」であるため、胃内の「強い酸性環境(低pH)」においてイオン化(プロトン化)し、水溶性が高まって溶解・吸収される。 b. ✅ 正しい。ゲフィチニブ、エルロチニブ、ダサチニブなどの多くのTKIは、溶解度がpH依存性(酸性で溶解)である。PPIやH2RA等の併用によって胃内pHが上昇(中性〜アルカリ化)すると、TKIが非イオン型となり溶解度が著しく低下する。溶けない薬は吸収されないため、血中濃度の大幅な低下を招き、治療失敗に直結する。 c. ❌ 制酸薬(特にPPI)は胃酸分泌を長時間にわたり抑制するため、単に服用時間をずらしただけでは相互作用を回避できないことが多い。添付文書等では、可能な限りPPIの併用を回避すること、やむを得ない場合は作用時間の短い制酸薬(H2RAや局所作用の制酸薬)に変更し、投与間隔を厳密にあける(例:TKI投与の数時間後等、各薬剤の規定に従う)ことが求められる。 d. ❌ 制酸薬によるTKIの血中濃度低下は、CYP3A4の代謝誘導ではなく、消化管内での「溶解度低下による吸収過程の阻害」が原因である。 e. ❌ 制酸薬の影響を強く受けるTKI(ゲフィチニブ等)と、受けにくいTKI(オシメルチニブ等)が存在するため、薬剤ごとの添付文書の確認が絶対必須である。

【正解】 b


問題(第33/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の体内動態と「食事の影響」に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. すべてのTKIは、食事による吸収の変動を避けるため、一律に「食後投与」が義務付けられている。 b. ニロチニブ(タシグナ)は、食後に服用すると吸収が大幅に亢進して血中濃度が急上昇し、致死的なQT間隔延長を引き起こすリスクがあるため、必ず「食事の1時間前、または食後2時間以降(空腹時)」に服用しなければならない。 c. エルロチニブ(タルセバ)は、空腹時に服用すると胃腸障害が強く現れるため、必ず食直後に服用する。 d. TKIを服用中の患者には、肝臓の代謝酵素を活性化させて薬の効き目を高めるため、グレープフルーツジュースの摂取を積極的に推奨する。 e. アベマシクリブ(ベージニオ)は、高脂肪食と一緒に服用することで吸収が完全に阻害されるため、脂肪制限食が必要である。

【解答・解説】 a. ❌ TKIによって食事の影響は様々であり、食後投与、空腹時投与、食事の影響なし(いつでもよい)など、薬剤ごとに厳格に規定されているため、一律のルールはない。 b. ✅ 正しい。慢性骨髄性白血病(CML)治療薬であるニロチニブ(タシグナ)は、食事(特に高脂肪食)と一緒に服用すると、Cmax(最高血中濃度)やAUCが著しく上昇する。血中濃度の上昇は重大な副作用である「QT間隔延長(致死的不整脈の恐れ)」に直結するため、添付文書において【警告】として「食事の1時間前、又は食後2時間以降(空腹時)に服用する」ことが厳格に義務付けられている。 c. ❌ エルロチニブ(タルセバ)も食事の影響を受けて血中濃度が上昇するため、「食事の1時間前、又は食後2時間以降」の空腹時投与が規定されている。 d. ❌ グレープフルーツジュースは小腸のCYP3A4を「阻害」するため、多くのTKI(CYP3A4基質)の血中濃度を異常に上昇させ、副作用を増強する。したがって摂取は「禁止(回避)」である。 e. ❌ アベマシクリブ(ベージニオ)の吸収は食事(高脂肪食等)によって臨床的に意味のある影響を受けないため、食事に関わらず投与可能である。

【正解】 b


【用語解説】 ・AUC (Area Under the Blood Concentration-Time Curve): 血中濃度時間曲線下面積。薬物が全身にどれだけ曝露されたかを示す指標。 ・GFR (Glomerular Filtration Rate): 糸球体ろ過量。腎臓のろ過機能を示す。 ・QT間隔延長: 心電図上のQ波からT波までの間隔が延びること。致死的不整脈(Torsades de pointes)の原因となる。

【出典】 ・PMDA 添付文書(カルボプラチン、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ 最新版) ・日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン 2022」


次回は、第34問〜第36問(DDI:フッ化ピリミジン系の併用禁忌、症例問題①:CINVマネジメント)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

【問題文】 がん化学療法における薬物相互作用(DDI)として、「絶対的併用禁忌」とされているフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬の組み合わせとその理由について、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

問題(第34/41問)❌️ 【難易度】 標準

【選択肢】 a. S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)とカペシタビン(ゼローダ)は、いずれも異なる経路で抗腫瘍効果を発揮するため、併用することで相乗効果が得られ推奨される。 b. S-1に含まれるギメラシルが、カペシタビンなどの他のフッ化ピリミジン系薬剤の主たる代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を強力に阻害するため、併用すると他剤の血中濃度が致死的なレベルまで上昇する。 c. フルオロウラシル(5-FU)とカペシタビン(ゼローダ)を併用すると、相互に排泄を促進し合い、抗がん剤の血中濃度が治療域に達しなくなるため併用禁忌である。 d. フッ化ピリミジン系薬剤同士を切り替える場合、薬剤の半減期が極めて短いため、休薬期間を設けずに翌日から直ちに新薬の投与を開始してよい。 e. S-1と他のフッ化ピリミジン系薬剤を併用した場合、特有の副作用として致死的な心筋炎が100%発症するため禁忌とされている。

【解答・解説】 a. ❌ フッ化ピリミジン系薬剤同士は、代謝酵素が共通しており相互作用の危険が極めて高いため、併用は原則「禁忌」である。 b. ✅ 正しい。S-1(ティーエスワン等)の配合成分である「ギメラシル」は、フルオロウラシル(5-FU)の分解酵素である「DPD(ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ)」を強力かつ可逆的に阻害する。そのため、S-1と他のフッ化ピリミジン系薬剤(カペシタビン、5-FU、UFT等)を併用すると、他剤の代謝が阻害されて5-FUの血中濃度が異常上昇し、致死的な骨髄抑制や消化管毒性を引き起こす。これは絶対的な併用禁忌である。 c. ❌ 併用禁忌の理由は「排泄の促進(効果減弱)」ではなく、「代謝の競合阻害による血中濃度の異常上昇(致死的毒性)」である。 d. ❌ フッ化ピリミジン系同士を切り替える際(例:S-1から他の薬剤へ変更)には、ギメラシルによるDPD阻害作用が体内から完全に消失するのを待つため、適切な「休薬期間(S-1中止後少なくとも7日間等、薬剤により規定)」を設けることが厳密に求められる。 e. ❌ 併用によって引き起こされる致死的な副作用は主に「重篤な血液障害(骨髄抑制)および消化器障害」である。

【正解】 b


問題(第35/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 ※本問は「一問一概念問題」の最終問であり、次問以降は本小項目の全知識を統合する「症例問題」となります。

タキサン系抗悪性腫瘍薬(パクリタキセル、ドセタキセル等)の過敏症(Infusion reaction)および薬物動態に関する記述として、正しいものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 過敏症は主にパクリタキセルの主成分そのものに対するアレルギーであるため、減量すれば前投薬なしで投与可能である。 b. パクリタキセル(タキソール)の注射液に含まれる溶剤(ポリオキシエチレンヒマシ油など)がアナフィラキシーなどの重篤な過敏症(Infusion reaction)を引き起こすため、投与前にステロイド、H1およびH2受容体拮抗薬の前投薬が必須である。 c. ドセタキセル(タキソテール)は水溶性が高いため、過敏症予防のためのステロイド前投薬は不要である。 d. タキサン系抗悪性腫瘍薬は主に腎臓から未変化体のまま排泄されるため、腎機能低下患者では大幅な減量が必要となる。 e. タキサン系薬剤はCYP3A4を強力に誘導するため、併用する他の薬剤の血中濃度を著しく低下させる。

【解答・解説】 a. ❌ パクリタキセルの過敏症の多くは、主成分ではなく、水に難溶な薬剤を溶かすために使用されている「溶剤(ポリオキシエチレンヒマシ油や無水エタノール)」に起因すると考えられている。用量依存性ではなく、減量で防げるものではない。 b. ✅ 正しい。パクリタキセル(タキソール)投与時には、溶剤等による重篤なInfusion reaction(アナフィラキシーを含む過敏症)が高頻度で発生する。これを予防するため、投与約30分前までにデキサメタゾン等のステロイド、ジフェンヒドラミン等のH1受容体拮抗薬、ファモチジン等のH2受容体拮抗薬の3剤による「前投薬」を行うことが必須である。 c. ❌ ドセタキセル(タキソテール)にもポリソルベート80等の溶剤が含まれており過敏症のリスクがある。さらに、ドセタキセル特有の「浮腫(体液貯留)」を予防・軽減する目的も含め、ステロイドの前投薬が推奨・規定されている。 d. ❌ タキサン系は主に「肝臓(CYP3A4等)」で代謝され、胆汁を介して糞中に排泄される(肝代謝・胆汁排泄型)。そのため、肝機能低下患者で注意が必要であり、腎排泄型ではない。 e. ❌ タキサン系はCYP3A4の「基質(代謝される側)」であり、自らが強力な誘導作用を持つわけではない。逆にCYP3A4阻害薬(アゾール系抗真菌薬など)との併用によりタキサン系の血中濃度が上昇し、毒性が増強するリスクがある。

【正解】 b


問題(第36/41問)❌️ 【出題基準】 大項目: Ⅴ. ファーマシューティカルケアを実践する 中項目: Ⅴ-1:医薬品(製剤)特性 小項目: 医薬品の作用機序、副作用及び体内動態、相互作用等について理解している。・がん化学療法

【難易度】 標準

【問題文】 ※ここからは「症例問題」です。フェーズ1〜2および前問までの知識を統合して臨床判断を行ってください。

【症例】 65歳、男性。肺がんに対する初回治療として、シスプラチン(ランダ)+ペメトレキセド(アリムタ)療法が予定されている。 担当医から、制吐薬の処方設計およびシスプラチンの腎毒性予防に関するレジメン監査の依頼があった。

本症例における薬剤師の処方監査・介入内容として、不適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. シスプラチンは高度催吐性リスク(HEC)に分類されるため、予防的制吐薬としてアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾン、オランザピンの4剤併用が処方されているか確認する。 b. 遅発期悪心・嘔吐の予防として、Day 2からDay 4にかけてデキサメタゾンおよびオランザピンの継続投与が指示されているか確認する。 c. アプレピタントはCYP3A4誘導作用を持ち、併用するデキサメタゾンの血中濃度を低下させるため、Day 1のデキサメタゾンの用量を通常の1.5倍に増量するよう医師に提案する。 d. シスプラチンの腎毒性を予防するため、ショートハイドレーションなどの十分な輸液量とともに、硫酸マグネシウム補正液が輸液に添加されているか確認する。 e. ペメトレキセドの重篤な骨髄抑制等を予防するため、投与開始の少なくとも1週間前から葉酸とビタミンB12の補充が開始されているか確認する。

【解答・解説】 a. ❌ (適切な監査である)シスプラチンはHECであり、制吐薬適正使用ガイドラインにおいてNK1受容体拮抗薬+5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピンの4剤併用が標準予防法である。 b. ❌ (適切な監査である)HECの遅発期対応として、デキサメタゾンとオランザピンのDay 2〜4への継続投与は必須である。 c. ✅ 不適切である。アプレピタント(イメンド)はCYP3A4を「阻害」する作用を持つ。デキサメタゾンもCYP3A4の基質であるため、併用するとデキサメタゾンの血中濃度が約2倍に「上昇」する。したがって、デキサメタゾンの用量は増量するのではなく「半量に減量」して処方設計するのが正しい介入である。 d. ❌ (適切な監査である)シスプラチンの腎毒性予防において、尿量確保のための輸液と、尿細管取り込み亢進を防ぐためのマグネシウム補充は必須である。 e. ❌ (適切な監査である)ペメトレキセド投与前の葉酸・ビタミンB12の補充は、致死的毒性を防ぐための絶対条件である。

【正解】 c


【用語解説】 ・DPD (Dihydropyrimidine Dehydrogenase): フッ化ピリミジン系の主要代謝酵素。 ・Infusion reaction: モノクローナル抗体製剤や一部の抗がん剤(の溶剤)投与中〜直後に生じる、アレルギー様あるいはサイトカイン放出による過敏症状の総称。 ・CYP3A4 (Cytochrome P450 3A4): 肝臓および小腸に存在する薬物代謝酵素の主要分子種。

【出典】 ・PMDA 添付文書(ティーエスワン、パクリタキセル 最新版) ・日本癌治療学会「制吐薬適正使用ガイドライン 第3版」(2023年)


次回は、第37問〜第39問(症例問題②〜④:FNマネジメント、irAE介入、TKIのDDI監査)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。





問題(第37/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 【症例】 50歳、女性。乳がん術後補助化学療法として、ドセタキセル(タキソテール)+シクロホスファミド(エンドキサン)療法(TC療法)が予定されている。本レジメンは、発熱性好中球減少症(FN)の発症リスクが20%以上と予測される。 初回のDay 1に抗がん剤投与が無事終了し、Day 2の処方および今後の患者指導について薬剤師が確認を行っている。

本症例に対する薬剤師の対応として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. レジメンのFN発症リスクが20%以上であるため、Day 2にG-CSF製剤であるペグフィルグラスチム(ジーラスタ)の一次予防的投与が処方されているか確認する。 b. Day 2にペグフィルグラスチムを投与する場合、白血球の急激な増加による骨髄破裂を防ぐため、事前にヒドロキシカルバミド(ハイドレア)を内服させるよう医師に提案する。 c. 患者に対し、「もし自宅で37.5℃以上の熱が出た場合は、次回の外来受診日までアセトアミノフェン(カロナール)を飲んで様子を見てください」と指導する。 d. シクロホスファミドによる出血性膀胱炎を予防するため、Day 2の時点で直ちにメスナ(ウロミテキサン)の静脈内投与を追加するよう疑義照会する。 e. ドセタキセルによる末梢神経障害を予防するため、自宅では常に手足を氷水で冷やす(冷罨法)よう指導する。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン」において、FN発症リスクが20%以上のレジメン(乳がんのTC療法など)では、全例に対して抗がん剤投与の翌日以降(Day 2など、24〜72時間以内)にG-CSF製剤(ペグフィルグラスチム等)の一次予防的投与を行うことが強く推奨されている。 b. ❌ G-CSF製剤投与による骨髄破裂を防ぐ目的で、細胞障害性抗がん剤であるヒドロキシカルバミドを予防内服させるというプロトコルはない。ペグフィルグラスチムの副作用である骨痛などに対してはアセトアミノフェンやNSAIDsで対症療法を行う。 c. ❌ 化学療法後(特に好中球減少の底である時期)の発熱はFNの可能性が極めて高く、放置すると敗血症から致死的となる。解熱鎮痛薬で様子を見るのではなく、「直ちに病院へ連絡・受診する」よう指導しなければならない。 d. ❌ メスナ(ウロミテキサン)が必須となるのは、シクロホスファミドやイホスファミドの「大量投与」時である。通常のTC療法におけるシクロホスファミド用量(600mg/m²)では、十分な水分摂取や点滴による尿量確保で対応可能であり、ルーチンのメスナ併用は必須ではない。 e. ❌ ドセタキセルによる末梢神経障害に対して冷罨法が予防効果を示すという明確なエビデンスはない(寒冷刺激で悪化するオキサリプラチンの急性症状に対しては禁忌である)。

【正解】 a


問題(第38/41問)❌️ 【難易度】 標準

【問題文】 【症例】 60歳、男性。非小細胞肺がんに対して、抗PD-1抗体であるニボルマブ(オプジーボ)による治療を開始し、3コース目が終了したところである。 本日、外来受診時に患者から「3日前から水のような下痢が1日5〜6回出るようになった。少しお腹も痛い」と相談があった。血圧等のバイタルサインに大きな異常はない。

この患者の症状に対する薬剤師の臨床的判断と介入として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. イリノテカンなどによる下痢と同様であるため、直ちに強力な止瀉薬であるロペラミド(ロペミン)を処方するよう医師に提案する。 b. ニボルマブによる免疫関連有害事象(irAE)の大腸炎が強く疑われるため、直ちにニボルマブを休薬し、全身性ステロイド(プレドニゾロン等)の投与を考慮するよう医師に進言する。 c. 腸内細菌叢の乱れが原因であるため、整腸剤の処方を提案し、ニボルマブの治療は予定通り継続する。 d. irAEの甲状腺機能低下症による症状である可能性が高いため、レボチロキシン(チラージンS)の補充を提案する。 e. ニボルマブの代謝が遅延している可能性があるため、次回から投与量を半量に減量して継続するよう提案する。

【解答・解説】 a. ❌ irAEによる大腸炎に対して、原因(自己免疫性の炎症)を取り除かずに強力な腸管蠕動抑制薬(ロペラミド等)を単独で使用すると、腸管内に炎症物質が滞留し中毒性巨大結腸症や腸管穿孔を引き起こす危険があるため、原則として推奨されない。 b. ✅ 正しい。ニボルマブ投与中に「ベースラインより1日4〜6回以上の排便増加」を認める場合、Grade 2の大腸炎・下痢(irAE)に該当する。がん免疫療法ガイドラインに基づき、直ちに被疑薬を休薬し、消化器内科等と連携のうえ、全身性ステロイド(プレドニゾロン換算1〜2mg/kg/日)の投与を早期に開始することが適切なマネジメントである。 c. ❌ 症状(1日5〜6回の水様便)は明らかに重篤なirAEを疑うサインであり、整腸剤で様子を見て治療を継続するのは極めて危険である(腸管穿孔・死亡のリスク)。 d. ❌ 甲状腺機能低下症の主な症状は倦怠感、浮腫、寒がり、便秘などであり、激しい水様性下痢ではない。 e. ❌ ICIによるirAEは用量依存的なものではないため、「減量して継続」という対応は行われない。重症度に応じた休薬とステロイド介入が基本である。

【正解】 b


問題(第39/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 【症例】 55歳、女性。EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対して、ゲフィチニブ(イレッサ)の内服治療が開始されることになった。 患者の持参薬とお薬手帳を確認したところ、他院から以下の薬剤が処方され、連日服用していることが判明した。

・エソメプラゾール(ネキシウム)カプセル(プロトンポンプ阻害薬) ・イトラコナゾール(イトリゾール)カプセル(アゾール系抗真菌薬) ・酸化マグネシウム(マグミット)錠

ゲフィチニブの薬物動態と薬物相互作用(DDI)を考慮した薬剤師の処方監査・介入として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. エソメプラゾールにより胃内pHが上昇し、ゲフィチニブの溶解度と吸収が著しく低下して抗腫瘍効果が減弱する恐れがあるため、可能な限りPPIの併用回避(または他の制酸薬への変更と投与間隔の調整)を医師に提案する。 b. イトラコナゾールはCYP3A4を強力に誘導するため、ゲフィチニブの血中濃度が低下して効果が得られなくなる。そのため、ゲフィチニブの用量を倍増するよう提案する。 c. 酸化マグネシウムはゲフィチニブと消化管内で強力なキレートを形成し吸収を完全に阻害するため、ゲフィチニブと同時に服用するよう指導する。 d. エソメプラゾールはゲフィチニブの肝臓での代謝を直接促進するため、併用により間質性肺疾患のリスクが跳ね上がる。直ちにステロイドの予防投与を提案する。 e. これら3剤はいずれもゲフィチニブの体内動態に影響を与えないため、特に介入せずそのままゲフィチニブの服用を開始させる。

【解答・解説】 a. ✅ 正しい。ゲフィチニブは弱塩基性薬物であり、溶解性がpH依存性(胃内の強い酸性条件下で溶解する)を示す。エソメプラゾール(PPI)などの強力な持続的制酸薬の併用により胃内pHが上昇すると、ゲフィチニブの溶解度が著しく低下し、腸管からの吸収が妨げられて血中濃度が大幅に低下する。これは治療失敗に直結する重大な相互作用であるため、PPIの併用回避(H2RAへの変更と投与間隔の調整等)を提案するのが最も適切な介入である。 b. ❌ イトラコナゾールはCYP3A4を「強力に阻害」する薬物である。ゲフィチニブはCYP3A4で代謝されるため、併用するとゲフィチニブの血中濃度が「上昇」し、副作用のリスクが高まる。誘導作用ではない。 c. ❌ 酸化マグネシウムなどの制酸薬は胃内pHを上昇させることでゲフィチニブの吸収を低下させるが、キレート形成が主たる機序ではない(キレート形成に注意が必要なのはニューキノロン系抗菌薬など)。また、吸収を阻害するのに「同時服用」を指導するのは明白な誤りである。 d. ❌ PPIによるゲフィチニブの血中濃度への影響は「吸収低下」による血中濃度「低下」である。代謝促進による濃度上昇・副作用増強ではない。 e. ❌ PPIやCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール)はゲフィチニブの動態に極めて重大な影響を与えるため、見過ごすことは許されない。

【正解】 a


【用語解説】 ・TC療法: 乳がんの標準的補助化学療法の1つ。ドセタキセル(Taxotere)とシクロホスファミド(Cyclophosphamide)の併用。 ・irAEの大腸炎: 免疫チェックポイント阻害薬により生じる重症の腸炎。Grade評価に基づいてステロイド投与が決定される。 ・PPI (Proton Pump Inhibitor): プロトンポンプ阻害薬。胃酸分泌を強力に抑え、胃内pHを上昇させる。

【出典】 ・日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン 第3版」(2023年) ・PMDA 添付文書(ゲフィチニブ、ペグフィルグラスチム 最新版)


次回は、本テーマの最終出力となる第40問〜第41問(症例問題⑤〜⑥:カルボプラチン用量監査、MTX大量療法のTDM)を出力します。よろしければ「次へ」とご指示ください。

問題(第40/41問)❌️ 【難易度】 やや難

【問題文】 【症例】 75歳、女性。身長150cm、体重38kg(著しいるい痩あり)。卵巣がんに対してカルボプラチン(パラプラチン)+パクリタキセル(タキソール)療法(目標AUC = 5)が予定されている。 患者の血液検査結果:血清クレアチニン値(Scr)0.5 mg/dL、BUN 15 mg/dL。

担当医から「患者のScrが低いので腎機能は良好と判断し、Cockcroft-Gault式で算出したクレアチニンクリアランス(Ccr)をそのままCalvert式のGFRに代入してカルボプラチンの投与量を計算した」との報告があった。 これに対する薬剤師の監査所見および介入として、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 医師の計算通り、Scr 0.5 mg/dLは腎機能が極めて良好であることを示しているため、算出された投与量で直ちに調剤を行う。 b. 患者は高齢かつ著しいるい痩(体重38kg)があり、筋肉量の低下によりScrが低く(正常に見えるように)出ているだけの可能性が高い。そのまま計算するとGFRを過大評価し、過量投与による致死的な骨髄抑制を招く危険があるため、Scrの補正(例:0.6 mg/dLに切り上げる等)や実測Ccrの評価を提案する。 c. カルボプラチンは肝代謝型の薬剤であるため、腎機能の評価は不要であり、体重のみに基づいて投与量を再計算するよう提案する。 d. 高齢者の場合、Cockcroft-Gault式は一切使用してはならないため、直ちにイヌリンクリアランスの実測を行うまで化学療法の開始を延期するよう強く進言する。 e. カルボプラチンの投与量(mg)は「目標AUC × (GFR - 25)」で計算されるため、医師のCalvert式の公式適用が間違っていると指摘する。

【解答・解説】 a. ❌ 筋肉量の極端に少ない高齢者では、クレアチニンの産生自体が少ないため、実際の腎機能が悪くてもScrが低く(0.5 mg/dLなど)出る現象(見かけ上の腎機能良好)が起こる。これをそのまま信用するのは非常に危険である。 b. ✅ 正しい。カルボプラチンの投与量はCalvert式「目標AUC × (GFR + 25)」で算出され、GFRの代用としてCockcroft-Gault式による推算Ccrが頻用される。しかし、高齢でるい痩の著しい患者(低体重)の場合、低値のScrをそのまま式に入れるとCcr(GFR)が非現実的な高値となり、結果としてカルボプラチンの「過量投与(致死的な骨髄抑制、特に血小板減少)」を招く。これを防ぐため、実臨床では血清クレアチニン値を例えば「0.6 mg/dL」に補正して計算する、あるいは蓄尿による実測Ccrを実施するなどの安全対策を講じることが必須の監査ポイントである。 c. ❌ カルボプラチンは腎排泄型であり、用量設定において腎機能(GFR)の評価は絶対的である。 d. ❌ イヌリンクリアランスの実測が理想であるが、日常診療で全例に行うのは現実的ではない。実臨床ではCockcroft-Gault式やeGFRの適切な補正・解釈による運用が標準的である。 e. ❌ Calvert式は「目標AUC × (GFR + 25)」であり、「-」ではない。

【正解】 b


問題(第41/41問)❌ 【出題基準】 大項目: Ⅴ. ファーマシューティカルケアを実践する 中項目: Ⅴ-1:医薬品(製剤)特性 小項目: 医薬品の作用機序、副作用及び体内動態、相互作用等について理解している。・がん化学療法

【難易度】 やや難

【問題文】 ※本問は本テーマにおける最終問題です。

【症例】 20歳、男性。骨肉腫に対して大量メトトレキサート(MTX)療法を実施中。 MTX投与開始から24時間が経過し、プロトコルに従いロイコボリン(ホリナートカルシウム)による救援療法(レスキュー)が開始された。同時にTDM(血中濃度モニタリング)のため採血が行われた。 患者は疼痛を訴えており、持参薬として他院からロキソプロフェン(ロキソニン)が処方され、手元に持っている。

薬剤師がこの状況において行うべき臨床的判断と介入として、最も不適切なものはどれか。1つ選べ。

【選択肢】 a. 尿中へのMTX結晶析出を防ぐため、輸液によって尿量が確保され、かつ尿中pHが7.0以上(アルカリ化)に保たれているかを尿検査等で継続的にモニタリングする。 b. TDMの結果、MTXの血中濃度が安全域(プロトコルの基準値未満)に低下するまで、ロイコボリン(ホリナート)の投与を継続するよう医師と確認する。 c. 患者が疼痛に対してロキソプロフェンを自己判断で服用すると、MTXの腎排泄が競合的に阻害され、血中濃度が致死域まで上昇する危険があるため、絶対に服用しないよう強く指導・回収する。 d. 血中濃度が低下しにくい(排泄遅延が起きている)場合は、ロイコボリンの増量や投与期間の延長が必要になることをあらかじめ想定し、TDM結果を迅速に評価する。 e. MTXの骨髄抑制を直ちに回復させるため、ロイコボリンの投与は一旦中止し、代わりにペグフィルグラスチム(ジーラスタ)の連日投与に切り替えるよう医師に提案する。

【解答・解説】 a. ❌ (適切な介入である)大量MTX療法における急性腎障害(尿細管での結晶化)を防ぐため、十分なハイドレーションと「尿のアルカリ化(pH 7.0以上)」は絶対条件である。 b. ❌ (適切な介入である)ロイコボリンレスキューは、MTX血中濃度が安全域に低下するまで継続しなければならない。途中でやめると致死的な毒性が現れる。 c. ❌ (適切な介入である)NSAIDs(ロキソプロフェン等)は、腎臓の近位尿細管(OAT)においてMTXと排泄経路が競合し、MTXの排泄遅延(血中濃度上昇)を引き起こす「併用禁忌(または厳重な回避)」の薬剤である。自己服用は絶対に避けさせなければならない。疼痛に対してはアセトアミノフェンやオピオイドへの変更を提案する。 d. ❌ (適切な介入である)TDMに基づくロイコボリンの用量調節・期間延長は、大量MTX療法のマネジメントの中核である。 e. ✅ 不適切である。大量MTX療法による正常細胞への毒性(骨髄抑制、消化管粘膜障害など)は、DHFR阻害による「葉酸の枯渇」が根本原因である。したがって、活性型葉酸であるロイコボリンを投与し続けること(レスキュー)が唯一かつ絶対の解決策である。ロイコボリンを中止してG-CSF製剤に切り替えることは、レスキューの放棄を意味し患者を死に至らしめる極めて誤った判断である。

【正解】 e


【用語解説】 ・Calvert式: カルボプラチンの投与量(mg) = 目標AUC × (GFR + 25) ・Cockcroft-Gault式: 血清クレアチニン、年齢、体重、性別からクレアチニンクリアランス(Ccr)を推算する式。 ・TDM (Therapeutic Drug Monitoring): 薬物血中濃度モニタリング。大量MTX療法では排泄遅延を早期に発見し、ロイコボリンの投与量を決定するために必須。 ・ロイコボリン (ホリナートカルシウム): 活性型葉酸。MTXによって阻害された代謝経路を迂回し、正常細胞を保護する(レスキューする)。

【出典】 ・日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン 2022」 ・PMDA 添付文書(カルボプラチン、メトトレキサート、ホリナートカルシウム 最新版)


【令和8年度 日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験 対策問題(医薬品の副作用・体内動態・相互作用などについて理解している。:がん化学療法 ※作用機序以外特化)】 予定しておりました 全41問(一問一概念問題35問 + 症例問題6問) の出力をすべて完了いたしました。 網羅性自動監査システムにより定義された「臨床判断に不可欠な全知識要素」を完全に被覆しております。 お疲れ様でした。次の小項目や別テーマのご要望がありましたら、お知らせください。