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医療事故調査制度について理解
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問題(第1/11問)
【出題基準】 大項目:Ⅳ. 医療安全を推進する 中項目:Ⅳ-1:リスクマネジメント(医薬品安全管理) 小項目:医療事故調査制度について理解している。
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度の目的として正しい記述はどれか。
【選択肢】 医療事故調査制度は、医療事故が発生した際に、当該事故に関与した医療従事者の過失の有無を明らかにし、個人の責任を追及することを主たる目的としている。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 誤り。医療事故調査制度の目的は「医療安全の確保」と「再発防止」であり、個人の責任追及ではない。
《核心》
- 医療法に定められた本制度は、医療事故の背景にあるシステムエラーを分析し、再発防止策を講じることで医療安全を向上させることを目的としている。
- 警察の捜査(医師法第21条に基づく届出など)や民事訴訟のような「責任追及」を目的とした制度とは明確に区別される。
《周辺知識》
- 院内調査結果報告書は、責任追及に流用されないよう、原則として医療従事者個人が特定されないよう匿名化して作成される。
- 薬剤師(医薬品安全管理責任者)は、この「非懲罰性」の原則を理解した上で、エラーを隠蔽せず報告できる組織文化(安全文化)の醸成に努める必要がある。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 医療事故調査制度の目的=「医療安全の確保」と「再発防止」。
- ★重要: 「個人の責任追及」や「紛争解決」を目的とするものではない。
- 報告書は民事訴訟や警察の捜査への流用を目的としていない(目的外使用の制限)。
【正誤】 ❌
問題(第2/11問)
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度の対象となる「医療事故」の定義に関する記述として正しいものはどれか。
【選択肢】 医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる事象であって、患者に重篤な後遺症が残ったが生存している場合、管理者が予期していなかった事象であれば本制度の報告対象となる。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 誤り。本制度の対象は「死亡又は死産」に限定されており、生存している事例(重篤な後遺症を含む)は対象外である。
《核心》
- 医療法における本制度の「医療事故」の定義は、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」である。
- したがって、いかに予期せぬ重大な事象(アナフィラキシーショックによる心肺停止からの蘇生など)であっても、最終的に患者が生存していれば、本制度(医療事故調査・支援センターへの報告義務)の対象とはならない。
《周辺知識》
- ただし、本制度の対象外であっても、医療機関内部のインシデント・アクシデント報告制度や、日本医療機能評価機構が実施する「医療事故情報収集等事業」への報告対象にはなり得る。
- 薬剤師は、制度の対象か否かにかかわらず、重大な有害事象が発生した場合は速やかに原因究明と再発防止策の立案を行う必要がある。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 医療事故調査制度の対象=「死亡」または「死産」のみ。
- ★重要: 重篤な後遺症が残っても、生存事例は本制度の対象外。
- 対象となるのは「医療に起因する(疑われる)」事象であり、原疾患の進行による死亡は対象外。
【正誤】 ❌
問題(第3/11問)
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度において、管理者が死亡を「予期しなかった」と判断する基準に関する記述として正しいものはどれか。
【選択肢】 患者の死亡が「予期しなかった」ものに該当するかどうかは、医療行為の提供前に、当該医療行為によって死亡する危険性があることを患者や家族に説明していたか、または診療録等に記録していたかを基準として客観的に判断される。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。事前の説明(インフォームドコンセント)や診療録等への記録の有無が、「予期していたか否か」の重要な判断基準となる。
《核心》
- 医療事故調査制度において「管理者が予期しなかった」と判断されるのは、以下のいずれにも該当しない場合である。
- 事前に患者や家族に対し、死亡または死産が起こり得ることを説明していた場合
- 事前の説明はなかったが、診療録(カルテ)等に死亡または死産が起こり得る旨が記録されていた場合
- 医療安全管理委員会等でのカンファレンス記録等に基づき、客観的に予期されていたと認められる場合
- つまり、事前に死亡リスクを認識し、それを説明・記録していれば「予期された死亡」となり、制度の対象外となる。
《周辺知識》
- 抗がん剤治療など、致死的な副作用リスクが伴う治療においては、事前の十分な説明と同意(インフォームドコンセント)の取得、およびカルテへの記載が極めて重要である。
- 薬剤師は、ハイリスク薬の投与前に、医師が十分な説明を行っているか、同意書が取得されているかを確認する役割も担う。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 「予期しなかった」の判断基準=事前の「患者・家族への説明」または「診療録等への記録」の有無。
- 事前に死亡リスクを説明・記録していれば「予期された死亡」となり、本制度の対象外。
- 説明は口頭だけでなく、カルテや同意書などの客観的な記録に残すことが求められる。
【正誤】 ✅
【用語解説】 ・特になし
問題(第4/11問)
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度における発生報告の手続きに関する記述として正しいものはどれか。
【選択肢】 医療機関の管理者は、医療事故調査制度の対象となる医療事故が発生したと判断した場合、遺族の同意を得た上で、速やかに所轄の保健所長へ発生の報告を行わなければならない。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 誤り。報告先は「医療事故調査・支援センター」であり、報告にあたって遺族への「説明」は必須だが、「同意」は不要である。
《核心》
- 医療法に基づく本制度において、医療事故の発生報告を行う義務を負うのは「医療機関の管理者(院長など)」である。
- 報告先は、保健所や警察、厚生労働省ではなく、「医療事故調査・支援センター(一般社団法人日本医療安全調査機構)」である。
- 管理者は、センターへ報告する前に遺族に対して「医療事故調査制度の対象となる事象が発生したこと」を説明する義務があるが、報告すること自体に対する遺族の「同意」を得る必要はない。
《周辺知識》
- 遺族への説明は、原則として口頭で行うが、説明した内容や日時、同席者などを診療録(カルテ)等に記録しておくことが実務上重要である。
- 遺族が報告を拒否した場合でも、法令上の義務であるため、管理者はセンターへ報告しなければならない(ただし、遺族の心情に十分配慮した丁寧な説明が求められる)。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 報告義務者=「医療機関の管理者」。
- ★重要: 報告先=「医療事故調査・支援センター」。
- ★重要: センターへの発生報告に「遺族の同意」は不要(「遺族への説明」は必須)。
【正誤】 ❌
問題(第5/11問)
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度における院内調査の実施に関する記述として正しいものはどれか。
【選択肢】 医療事故の発生をセンターに報告した後、医療機関は自らが主体となって院内調査を実施しなければならず、その際、調査の客観性や専門性を確保するために、必要に応じて医療事故調査等支援団体の支援を求めることができる。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 正しい。院内調査の主体はあくまで当該医療機関であり、支援団体の活用が推奨されている。
《核心》
- 医療事故調査制度において、事故原因の究明と再発防止策の検討を行う「院内調査」の実施主体は、事故が発生した「当該医療機関」である。センターが最初から調査を代行するわけではない。
- しかし、医療機関内部の人間だけで調査を行うと、客観性や透明性が担保されない(身内びいきになる)恐れがある。
- そのため、医療機関は必要に応じて「医療事故調査等支援団体(医師会、医学会、病院団体など)」に対し、専門家の派遣や調査手法の助言などの支援を求めることができる。
《周辺知識》
- 薬剤師(医薬品安全管理責任者)は、医薬品に関連する事故の院内調査において、薬学的専門知識を活かして原因究明(例:配合変化、相互作用、動態的蓄積の評価など)に参画する。
- 院内調査が完了した後、管理者はその結果をまとめた報告書をセンターに提出するとともに、遺族に対しても調査結果を説明する義務がある。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 院内調査の実施主体=「当該医療機関」。
- 調査の客観性・透明性を確保するため、「医療事故調査等支援団体」の支援を求めることができる。
- 院内調査結果は、センターへ報告するとともに、遺族へも説明する。
【正誤】 ✅
問題(第6/11問)
【難易度】標準
【問題文】 医療事故調査制度と、医師法第21条に基づく異状死体の届出に関する記述として正しいものはどれか。
【選択肢】 医療事故調査制度の対象となる「予期せぬ死亡」に該当すると判断された事例は、犯罪の疑いの有無にかかわらず、すべて自動的に医師法第21条に基づく所轄警察署長への届出対象となる。
【解答・解説】
─── 【理解する】───
《判定》 誤り。医療事故調査制度と医師法第21条は全く別の制度であり、医療事故調査制度の対象だからといって自動的に警察へ届け出るわけではない。
《核心》
- 医療事故調査制度(医療法):目的は「医療安全の確保と再発防止」。対象は「医療に起因する予期せぬ死亡」。報告先は「医療事故調査・支援センター」。
- 異状死体の届出(医師法第21条):目的は「犯罪捜査・責任追及の端緒」。対象は「検案して異状があると認めた死体」。届出先は「所轄警察署長」。
- 両者は独立した制度である。医療事故調査制度の対象となった事例であっても、明らかに犯罪行為(故意の殺人や傷害致死など)が疑われる場合を除き、直ちに医師法第21条に基づく警察への届出が必要となるわけではない。
《周辺知識》
- 過去には、医療事故が直ちに警察の捜査対象となり、医療従事者が逮捕される事案(例:福島県立大野病院事件など)が発生し、これが医療現場の萎縮を招いた。
- この反省から、「責任追及」と「原因究明・再発防止」を切り離すために創設されたのが医療事故調査制度である。この歴史的背景を理解しておくことが重要である。
─── 【覚える】───
《暗記ポイント》
- ★重要: 医療事故調査制度(再発防止目的)と医師法第21条(責任追及目的)は独立した別制度である。
- 医療事故調査制度の報告先=「医療事故調査・支援センター」。
- 医師法第21条の届出先=「所轄警察署長」。
- 医療事故調査制度の対象事例が、自動的に警察への届出対象となるわけではない。
【正誤】 ❌
【用語解説】 ・医療事故調査等支援団体:医療機関が行う院内調査を支援するため、厚生労働大臣が告示で定める団体(日本医師会、日本病院会、各都道府県医師会など)。専門家の派遣や調査手法の助言を行う。
問題(第7/11問)
【難易度】やや難
【問題文】 医療事故調査制度における「院内調査結果報告書」の取り扱いに関する記述として、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 院内調査結果報告書は、事故原因を究明し個人の責任の所在を明確にするため、関与した医療従事者の実名を記載して作成しなければならない。 b. 院内調査結果報告書は、医療安全の確保と再発防止を目的として作成されるものであり、民事訴訟における証拠や警察の捜査への流用を目的とするものではない。 c. 医療機関の管理者は、完成した院内調査結果報告書を医療事故調査・支援センターへ提出する義務を負うが、遺族に対してはその内容を説明する義務は免除されている。
【解答・解説】
aの解説: 医療事故調査制度の目的は「個人の責任追及」ではなく「再発防止」です。そのため、院内調査結果報告書は、原則として医療従事者個人が特定されないよう「匿名化」して作成されます。実名を記載して個人の責任を明確にするという記述は、制度の根本的な理念(非懲罰性)に反しています。 a. ❌
bの解説: 本制度は、医療従事者がエラーを隠蔽せず報告できる環境(安全文化)を構築するために創設されました。したがって、作成された報告書は再発防止のために用いられるべきであり、民事訴訟の証拠や警察の捜査(刑事責任の追及)への流用を目的として作成されるものではない(目的外使用の制限)と明確に位置づけられています。 b. ✅
cの解説: 医療機関の管理者は、院内調査が完了した後、その結果をまとめた報告書をセンターへ提出する義務があるだけでなく、遺族に対しても調査結果を説明する義務があります。遺族への説明義務が免除されることはありません。 c. ❌
《暗記ポイント》
- ★重要: 院内調査結果報告書は、原則として「匿名化」して作成される。
- ★重要: 報告書は「再発防止」が目的であり、民事訴訟や警察の捜査への流用を目的としない(目的外使用の制限)。
- 管理者は、院内調査結果をセンターへ報告するとともに、遺族へも説明する義務がある。
問題(第8/11問)
【難易度】やや難
【問題文】 医療事故調査制度における「センター調査」の仕組みに関する記述として、正しいものはどれか。
【選択肢】 a. 遺族が医療機関の行った院内調査の結果に納得できない場合、遺族は医療事故調査・支援センターに対して直接「センター調査」を依頼することができる。 b. 医療機関の管理者は、自院での院内調査が困難であると判断した場合でも、自らセンター調査を依頼することはできず、必ず遺族からの依頼を待たなければならない。 c. センター調査が実施された場合、その調査結果は医療機関の管理者のみに報告され、遺族への報告は医療機関を通じて行われる。
【解答・解説】
aの解説: 医療事故調査制度では、院内調査の客観性や透明性を補完する仕組みとして「センター調査」が設けられています。遺族が院内調査の結果に納得できない場合や、さらなる専門的な調査を希望する場合、遺族は医療事故調査・支援センターに対して直接、調査を依頼することができます。 a. ✅
bの解説: センター調査の依頼権者は「遺族」だけではありません。「医療機関」も依頼することができます。例えば、自院だけでは専門的な原因究明が困難であると管理者が判断した場合、医療機関側からセンターに対して調査を依頼することが制度上認められています。 b. ❌
cの解説: センター調査が完了した場合、医療事故調査・支援センターは、その調査結果を「医療機関の管理者」および「遺族」の双方に対して直接報告します。医療機関のみに報告され、そこを経由して遺族に伝えられるわけではありません。 c. ❌
《暗記ポイント》
- ★重要: センター調査の依頼権者は、「遺族」および「医療機関」の双方である。
- 遺族が院内調査結果に納得できない場合、直接センターへ調査を依頼できる。
- センター調査の結果は、センターから「医療機関」と「遺族」の双方に直接報告される。
問題(第9/11問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:65歳、男性 主訴:発熱、咳嗽 既往歴:高血圧症 現病歴:市中肺炎の診断で入院中。抗菌薬の点滴静注により症状は改善傾向にあった。 検査値:血清カリウム 3.8 mEq/L、血清クレアチニン 0.8 mg/dL 服用薬:アムロジピン(アムロジン)5mg/日 身体所見:意識清明、バイタルサイン安定。
【事象の経過】 入院4日目の午前10時、病棟看護師が別の患者(低カリウム血症)に投与すべき「塩化カリウム注射液(KCL注20mEqキット)」を誤って本患者の静脈内ルートから急速静注した。直後に患者は心室細動を起こし、心肺蘇生が行われたが、午前10時30分に死亡が確認された。 本患者に対して塩化カリウム注射液を投与する指示はなく、当然ながら事前に死亡リスクに関する説明や診療録への記載は一切行われていなかった。
【問題文】 病棟担当薬剤師として、医薬品安全管理責任者とともに本事例の初動対応について協議している。医療事故調査制度に基づく対応として、最も適切なものはどれか。
【選択肢】 a. 本件は明らかなヒューマンエラーによる過失致死が疑われるため、直ちに所轄警察署長へ医師法第21条に基づく届出を行い、医療事故調査・支援センターへの報告は警察の捜査が終了するまで保留する。 b. 医療事故調査制度の対象となる「予期せぬ死亡」に該当するため、管理者は遺族の同意を得た上で、速やかに医療事故調査・支援センターへ発生報告を行う。 c. 管理者は遺族に対し、医療事故調査制度の対象となる事象が発生したことを説明し、遺族の同意の有無にかかわらず、遅滞なく医療事故調査・支援センターへ発生報告を行う。 d. 本件は原疾患(肺炎)の悪化による死亡ではなく、薬剤の誤投与という明らかな事故であるため、医療事故調査制度の対象外であり、院内調査を実施する義務はない。 e. 医薬品安全管理責任者である薬剤師は、個人の責任を明確にするため、直ちに当該看護師を懲戒処分とするよう管理者に提案し、その旨を院内調査結果報告書に実名で記載する。
【解答・解説】
aの解説: 医療事故調査制度と医師法第21条(警察への届出)は独立した制度です。本件は医療に起因する予期せぬ死亡であり、医療事故調査制度の対象となります。警察への届出を行うか否かにかかわらず、センターへの報告を「警察の捜査終了まで保留する」という規定はありません。遅滞なくセンターへ報告する必要があります。 a. ❌
bの解説: 本件が医療事故調査制度の対象となる「予期せぬ死亡」に該当する点は正しいですが、センターへの発生報告にあたって「遺族の同意」は不要です。遺族への「説明」は必須ですが、同意を得る必要はありません。 b. ❌
cの解説: 本件は、医療従事者が提供した医療(誤投与)に起因する死亡であり、事前に死亡リスクの説明やカルテ記載がないため「管理者が予期しなかった死亡」に該当します。したがって、医療事故調査制度の対象となります。管理者は遺族に対して制度の対象事象が発生したことを説明し、遺族の同意の有無にかかわらず、遅滞なく医療事故調査・支援センターへ発生報告を行う義務があります。これが最も適切な初動対応です。 c. ✅
dの解説: 薬剤の誤投与という明らかなヒューマンエラーによる死亡であっても、「医療に起因する予期せぬ死亡」の定義を満たすため、医療事故調査制度の対象となります。対象外として院内調査を免除されるわけではありません。むしろ、なぜ取り違えが起きたのか(システムエラーの究明)を調査することが制度の目的です。 d. ❌
eの解説: 医療事故調査制度の目的は「個人の責任追及」ではなく「再発防止」です。医薬品安全管理責任者である薬剤師の役割は、看護師個人を責めることではなく、なぜ別の患者の薬が誤って投与されたのか(例:薬剤の保管場所、認証システムの不備など)というシステム上の問題を分析し、再発防止策を立案することです。また、報告書は匿名化して作成されます。 e. ❌
【正解】c
《ガイドライン選択薬》
- 該当なし(本問は法令・制度の運用判断を問う問題であるため)
《暗記ポイント》
- ★重要: 明らかなヒューマンエラー(薬剤の誤投与など)による死亡であっても、事前の説明・記録がなければ「予期せぬ死亡」として医療事故調査制度の対象となる。
- ★重要: センターへの発生報告に「遺族の同意」は不要だが、「遺族への説明」は必須である。
- 薬剤師(医薬品安全管理責任者)は、個人の責任追及ではなく、システム的アプローチに基づく再発防止策の立案に注力する。
【用語解説】 ・塩化カリウム注射液(KCL注):致死的な不整脈を引き起こすリスクがあるため、急速静注は絶対禁忌(必ず希釈して点滴静注する)のハイリスク薬。本症例のような誤投与は直ちに心停止を招く。
問題(第10/11問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:72歳、男性 主訴:呼吸困難、乾性咳嗽 既往歴:非小細胞肺癌(EGFR遺伝子変異陽性) 現病歴:3ヶ月前よりオシメルチニブ(タグリッソ)80mg/日による治療を開始。投与開始前のムンテラ(病状説明)において、主治医は患者および家族に対し「本剤の重大な副作用として間質性肺炎があり、発症した場合は致死的な経過をたどるリスクがある」旨を十分に説明し、同意書を取得の上、診療録(カルテ)にもその内容を詳細に記載していた。 検査値:KL-6 1,200 U/mL、SpO2 88%(室内気) 服用薬:オシメルチニブ(タグリッソ)80mg/日 身体所見:両側下肺野に捻髪音(fine crackles)を聴取。
【事象の経過】 入院後、ステロイドパルス療法等の集中治療が行われたが、間質性肺炎の急速な増悪により、入院から5日後に患者は死亡した。
【問題文】 本事例における医療事故調査制度および関連法令の適用に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【選択肢】 a. 医薬品の副作用という「医療に起因する死亡」であるため、事前の説明の有無にかかわらず、直ちに医療事故調査・支援センターへ発生報告を行わなければならない。 b. 事前に間質性肺炎による死亡リスクが説明され、診療録等に記録されていたため、管理者が「予期していた死亡」に該当し、医療事故調査制度の報告対象外となる。 c. 医療事故調査制度の対象外と判断された死亡事例は、犯罪の疑いがなくても、自動的に医師法第21条に基づく所轄警察署長への異状死体届出の対象となる。 d. 医療事故調査制度の対象外であるため、本事例について院内の医療安全管理委員会等で事例検討や再発防止策の協議を行うことは法令で禁止されている。 e. 事前の説明や記録が十分であっても、遺族が治療結果に納得していない場合は、遺族の心情に配慮して「予期せぬ死亡」としてセンターへ報告する義務が生じる。
【解答・解説】
aの解説: 医療事故調査制度の対象となるのは「医療に起因する死亡」のうち、「管理者が予期しなかったもの」に限られます。事前の説明の有無にかかわらず対象となるわけではありません。 a. ❌
bの解説: 本制度において「予期しなかった」と判断される基準は、事前の患者・家族への説明や診療録等への記録の有無です。本事例では、投与開始前に間質性肺炎による致死的リスクが十分に説明され、同意書やカルテへの記録も残されています。したがって、管理者が「予期していた死亡」と判断され、医療事故調査制度の報告対象外となります。これが最も適切な判断です。 b. ✅
cの解説: 医療事故調査制度と医師法第21条(異状死体の届出)は独立した制度です。医療事故調査制度の対象外だからといって、自動的に警察への届出対象になるわけではありません。医師法第21条は、検案して犯罪の疑い等の「異状」があると認めた場合に届け出るものです。 c. ❌
dの解説: 医療事故調査制度の報告対象外(予期された死亡)であっても、院内のインシデント・アクシデント報告制度に基づき、事例検討や再発防止策(例:副作用の早期発見プロセスの見直し等)の協議を行うことは全く問題なく、むしろ医療安全の観点から推奨されます。法令で禁止されている事実はありません。 d. ❌
eの解説: 「予期していたか否か」の判断は、事前の説明やカルテ記録に基づく客観的な基準で行われます。遺族が納得しているかどうかの主観的な感情によって、制度の対象・対象外の判断が覆る(義務が生じる)ことはありません。 e. ❌
【正解】b
《ガイドライン選択薬》
- 該当なし(本問は法令・制度の運用判断を問う問題であるため)
《暗記ポイント》
- ★重要: 事前に死亡リスクを説明し、診療録等に記録していれば「予期された死亡」となり、医療事故調査制度の対象外となる。
- 抗がん剤等のハイリスク薬投与前における、致死的副作用の十分な説明とカルテ記載(インフォームドコンセント)は、制度適用の判断において極めて重要である。
- 医療事故調査制度の対象外であっても、院内での事例検討や安全対策の向上に努めることが求められる。
【用語解説】 ・間質性肺炎:肺の肺胞隔壁(間質)に炎症が起こり、線維化する疾患。抗がん剤(EGFR阻害薬など)の重大な副作用として知られ、急速に呼吸不全を来し致死的な経過をたどることがある。
問題(第11/11問)
【難易度】難
【症例提示】 患者:45歳、女性 主訴:発熱、右下腹部痛 既往歴:特記事項なし(アレルギー歴の申告なし) 現病歴:急性虫垂炎の疑いで救急外来を受診。保存的加療の方針となり、抗菌薬の点滴静注が開始された。 検査値:WBC 12,500 /μL、CRP 8.5 mg/dL 服用薬:なし 身体所見:体温 38.5℃、右下腹部に圧痛あり。
【事象の経過】 セフトリアキソン(ロセフィン)1gの点滴静注を開始して5分後、患者は突然の呼吸困難と全身の紅斑を訴え、直後に血圧が低下(収縮期血圧 60 mmHg)し、意識を消失した。直ちにアドレナリンの筋肉内注射や気管挿管等の蘇生処置が行われたが、反応せず死亡した。 事前の問診でアレルギー歴の申告はなく、アナフィラキシーショックによる死亡リスクについての事前説明やカルテ記載は行われていなかった。 管理者は本事例を「予期せぬ死亡」と判断し、遺族へ説明の上、医療事故調査・支援センターへ発生報告を行った。
【問題文】 発生報告後の「院内調査」および薬剤師(医薬品安全管理責任者)の対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【選択肢】 a. 院内調査は医療事故調査・支援センターが主体となって実施するため、医療機関はセンターからの指示に従い、関連する診療録や医薬品のロット番号等の資料を提出するのみでよい。 b. 医療機関は自らが主体となって院内調査を実施するが、調査の客観性や専門性を確保するため、必要に応じて医療事故調査等支援団体に支援を求めることができる。 c. 医薬品安全管理責任者である薬剤師は、院内調査結果報告書に当該抗菌薬を投与した看護師および処方した医師の実名を記載し、責任の所在を明確にしなければならない。 d. 作成された院内調査結果報告書は、遺族が将来提起する可能性のある民事訴訟において、医療機関側の過失を証明する証拠として使用されることを主目的としている。 e. 遺族が院内調査の結果に納得しない場合、遺族はセンター調査を依頼することができるが、医療機関側から「自院での調査は困難である」としてセンター調査を依頼することは認められていない。
【解答・解説】
aの解説: 医療事故調査制度において、発生報告後に行われる「院内調査」の実施主体は、あくまで事故が発生した「当該医療機関」です。センターが主体となって調査を代行するわけではありません。 a. ❌
bの解説: 院内調査は医療機関が主体となって行いますが、身内だけの調査では客観性や透明性が疑われる可能性があります。そのため、医療機関は必要に応じて「医療事故調査等支援団体(医師会、医学会、病院団体など)」に対し、専門家の派遣や調査手法の助言などの支援を求めることができます。これが最も適切な対応です。 b. ✅
cの解説: 医療事故調査制度の目的は「再発防止」であり、「個人の責任追及」ではありません。そのため、院内調査結果報告書は原則として医療従事者個人が特定されないよう「匿名化」して作成されます。実名を記載して責任の所在を明確にするという対応は誤りです。 c. ❌
dの解説: 院内調査結果報告書は、医療安全の確保と再発防止を目的として作成されるものであり、民事訴訟の証拠や警察の捜査への流用を目的とするものではありません(目的外使用の制限)。 d. ❌
eの解説: センター調査の依頼権者は「遺族」だけでなく「医療機関」も含まれます。医療機関が自ら「自院での専門的な原因究明は困難である」と判断した場合、医療機関側からセンターに対して調査を依頼することが制度上認められています。 e. ❌
【正解】b
《ガイドライン選択薬》
- 該当なし(本問は法令・制度の運用判断を問う問題であるため)
《暗記ポイント》
- ★重要: 院内調査の実施主体は「当該医療機関」であり、客観性確保のために「医療事故調査等支援団体」の支援を求めることができる。
- ★重要: 院内調査結果報告書は「匿名化」して作成され、民事訴訟等への流用を目的としない。
- センター調査は、遺族だけでなく「医療機関」からも依頼することができる。
【用語解説】 ・アナフィラキシーショック:I型アレルギー反応により、急激な血圧低下や気道浮腫を引き起こす致死的な病態。抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系等)の投与直後に発現することがあり、事前の予測が困難な場合、医療事故調査制度の対象となり得る。
フェーズ3(実出題)はすべて完了しました。指定された小項目「医療事故調査制度について理解している。」に関する全11問の出題が完了し、網羅性自動監査システムで定義した知識の全体集合を100%カバーしました。